福島県教育センター所報ふくしま No.37(S53/1978.8) -011/030page
庭については適当な資料がないので,ここでは社会的なものをとり上げてみた。これについても何と何をとり上げるかは難しい問題であるが,さしあたり手元にある資料の中から児童生徒1人当りの地方教育費というものをとり上げてみた。
そして,この中の社会教育費のうちの公立図書館および博物館(動物園や植物園も入る)に支出した額をとりあげ進学カとの相関をみてみた。
今回は49年度の支出額と41年度の支出額の2つについて相関図をかかげてみた。
相関係数については
であつた。
昭和41年度支出額では0.401
昭和49年度支出額では0.222この相関はあくまで地方教育費であるから国立および私立の図書館,博物館は対象外である。
しかし,東京,京都,奈良など国立博物館の多い県や9大学がもつ博物館など地方教育費以上に支出がなきれている県もあり,こうした県では逆に地方教育費をおさえている県もある。
したがってこの相関表には東京,神奈川,愛知,京都,大阪,兵庫,奈良,福岡の8県は除外した。
いづれにしても,このような社会教育費というものは,今年支出して翌年成果を見るというわけにはいかないものであり,長い目でみれば確実にその影響があらわれるものだと考えられる。
41年度のデータから上記8県を除いてみて各県の図書,博物館費支出の高い8県をあげてみると,宮城,秋田,富山,長野,鳥取,高知,山口,大分である。
また,このようなことを予測してかどうかは別として41年度支出の少なかった県で49年度支出を大幅にのばした県には青森,栃木,埼玉,石川,島根,宮崎などがある。
相関関係があるか,ないか,相関の度合いが大きいか,小さいか,などということはこの程度の調査では軽々しく言うべきことてはない。
市立図書館費が大きい、ということは,生徒達が利用して学習の助けにするということもあるが,市民なり県民がそのことに意義を認めた文化的水準の高さがめぐりめぐって進学力に及んでいるとも言える。
5.おわりに
最後に以上の結果をまとめてみると
(1)各県の進学力には担当な開きがある。
(2)地元に大学(大学の内容,規模など)がある県は,その大学についての進学カが大きい。
(3)進学カほ,小学校時代から育まれてきた環境要 素が関係してくる面が相当あるのではないか。
というような,極めて常識的な考察となった。
限られた資料と短日でまとめた内容なので,問題提起のつもりで読んでいただければ幸いである。資料 サンデー毎日(53年4日30日号)
毎日年鑑,日本教育年鑑
地方教育費の調査報告書