福島県教育センター所報ふくしま No.37(S53/1978.8) -016/030page

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アイディア紹介

よりよい授業をもとめて

福島教育ソフトウェア研究会

代表  小野 恒夫
事務局 石川郡石川町字境ノ内370 奥河敏雄方

1.サークル結成の動機・着想

よい授業では必ず―人―人の生徒が意欲的に学習して目標の達成度が高い。では,そのよい授業とはどんな内容をもった授業なのだろうか。「わかった」という満足げな生徒たちのまなざしをいっぱいうけてその1時間と別れを告げるときの充実感を求めて授業を組織し実践するのだが,なかなか思うようにいかない。このようないらだちにもにた気持ちがたがいに授業を見せあうようになり,そこから,実際の授業を分析し検討すればよい授業を組織する手がかりを得ることができるのではないかということになった。しかも,集まった顔ぶれが担当教科を異にすることから,それぞれの立場や教科指導観からの発言に新鮮なものを感じ,よい授業を組織する上でどの教科にも共通するものがあるのではないかということになり,研究テーマを「授業分析を通しての授業の組織化として組織的な活動をすることになった。

2.構成メンパー,範囲

現在は,奥河敏男(社),小野恒夫(理),小野義明(数),鈴木不二男(国),村上進(保体),千葉栄(音),川田正裕(美),松本佳夫(理)で石川中学校勤務及ぴ前に勤務していた者である。

3.活動内容,方法

この福島教育ソフトウェア研究会は,より効果的な授業展開をねらうために活動することを目的としており,その指導案を使えばだれでも効果的な授業ができるという指導案を理想,としている。そこでこの理想を実現するには,多くのそしていろいろな教科担当の教師がひとつの教科のその中のひとつの授業の指導案についてそれぞれの立場から意見を出しあって,より多くの人が納得する指導案に作りあげなければならない。

一昨年度,教育工学の手法によれば自分の担当教科以外の授業にもするどく立ち入ることができ,また,それが故に新風が吹きこまれ発想の転換もよぎなくされ新しい展望が開けることを経験した私たちは,指導案は教育工学の手法をとり入れたフロ―チヤートで書くことにした。

2か月にひとりの割で授業研究の予定を立て その授業研究にむけて指導案を作成し,月2回(第1,第4水曜日の夜)の町公民館の―室を借りての例会で,まず指導案の検討から始めた。そこで練られた指導案で授業が行われる。私たちは都合のつく限りその授業に参加し教師や生徒の言語活動,非言語活動,生徒の学習の参加度や理解度のチェック,ビデオ操作による記録などをする。これらを次の例会までに整理して持ちより,そのひとつの授業について,教師テスト及び生徒の目から分析検討し,診断する。そして,修正すべきところには知恵を出しあってかかり修正指導案を作成するのである。こうして練られた指導案や修正された指導案,そのときに話題になったことなどを会誌『授業分析」にのせ,私たちの歩みをつたないなりにもとどめておくとともに石川地区内の中学校や関心をもっておられる先生方及ぴ東京にある全国組織の教育ソフトウェア研究会にも送ってご批判,ご指導をいただいている。

4.成 果

指導案の作成や授業の分析,検討を進めていくなかで,この授業をうけるのにこれだけはできなければならないという事項ができない生徒や授業をうける前にその授業の目標とする行動ができる生徒がかなりいることが間題になった。

これらの生徒にとつて,その授業は楽しくなく喜びのないものであることにはちがいない。よい授業とは,少なくとも授業に参加している―人―人がその―時限の授業をうけることによって授業をうける―時間前よりなんらかの変容がみられるものでなければならない。

このことから,―人―人に授業をうける喜びをもたせ学習に意欲的にとりくませるにはどうしたらよいかという課題に立ちむかうことになった。

次のことが,そのための方策としてあげられたものの中の2つである。

1.前提評価をし,その評価が(一)の生徒については(+)に なるように補完指導をする。

2.生徒たちの変容を自らが確認できるような形式(目標到達カード)を準備し,それにもとづいて適時学習事項の確認と即時フィードバックをする。

こうして,評価の問題を含めて『目標達成カード]をとり入れた授業の組織化の実践研究に移った。

「どこがわかって(できて),どこがわからなかった


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