福島県教育センター所報ふくしま No.37(S53/1978.8) -021/030page
「正確に」書けるようにするためには相互評価や自己評価を通じて記録をとったりしていくことが定着に役立つことになると思われる。
漢字カードを2枚ずつ用意させたことにより先に取った子どものカードの漢字が強く印象化され,積極的な動きがどのグル―プにもうまれてきたことは意欲のあらわれと言える。
エ 漢字練習について
漢字を書いたり,読んだりすることができても,使えなければ習得の意味がない。しかし,習う漢字には生活の中での使用の頻度の少ないものがある。
高学年で習得しなければならない漢字は子どもの生活経験と直接に結びつくものが少ないため,使う機会を積極的に設定したり,その基本となる知識や理解事項をく使しながら,教材との関連を図り,学習活動を展開させていかなければ漢字の力を高めることはできない。
オ 学習の遅れがちな子どもについて
問題がよく理解できないために,反応もにぶくなりがちなので,十分にヒントを与えることにより,文字の持つ特質を理解させるようにしたことは漢字学習への興味と意欲の持続につながる大きな役割を果たした。
カ 漢字練習表について
漢字練習表の利用は漢字の基本練習と応用練習との2面性を持たせて家庭学習でも使わせたことは,漢字を書くカ,文字の構成に対するイメージを持たせるのに効果があり,漢字習得に役立つ面が大きかった。
漢字練習表を使用する機会は授業ばかりでなく,朝自習の時間にも活用させたことは効果があ った。
表4「事前・事後テスト」・・・・
事前テスト ― 事後テストまた,練習の目的をはっきり持たせて,積極的に取り組みができるようにさせることは大事なことである。
2.事前テスト,事後テストの結果
3.事後テスト,は持テストの結果
表5「事後・は事テスト」・・・・
事後テスト ― は事テスト4.結果の考察
ア 有効度指数からみると8問が70以上であり,変容が認められる。
イ 有効度指数の低い「就」は,宮殿の意味としての「京」と,それがあるところ「みやこ」そして,住みつくことから「できあがる」意までの理解のさせ方が不十分であった。
ウ 漢字を習得させるには,理解させる段階と使用させる段階で子どもへの取り組ませ方をくふうすることが大事であると考えられる。
(3) 結論
1 事前テスト,事後テストの結果と有効度指数からみて,仮説は妥当であったと言えるが,は持テスト実施の段階では子ども自身の練習効果もあったのでよい成績を上げていると思われる。
2 漢字練習表の作成,カード取り競争を通じて定着させることは,その後の子どもたちの漢字学習に対して積極的な取り組みをみせるなど漢字や理解のためによい影響を与える結果となっている。
5.反省と問題点
(1)自作テストをもとに指導効果の判定をみたが,検定のための問題の妥当性という立場からみた場合,もっと研究する必要がある。
(2)今回の研究では,字義と用法から視点をあてた方法であつたが,子どもの漢字に対する関心を持続させる