福島県教育センター所報ふくしま No.38(S53/1978.10) -003/030page
○本時の教材構造(図)の確認
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○指導過程の決定(探究学習などでは,指導計画作成時に決定し,指導計画における本時の位置を確認しておく)
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○教材の配列と時間の配分
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○主発問の位置づけ
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○学習方法,学習形態の決定
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○教育機器の位置づけ
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○評価の位置づけ5 学習指導案として整理
これらの手順について,説明したい。
(1) 小単元目標の確認
小単元目標は,目標分析時にすでに設定されているので,確認しておく。この際,中心となる目標と支える目標の関連を十分は握しておくことが大切である。(2) 指導計画の作成
目標に基づいて精選された教材を構造図において確認し,指導の順序と配当する時間を決定する。(実際には,目標分析時または教材分析時にこれらのことを考慮し,決定している。)そして本時の位置づけを明確にする。すなわち,本時の前後の授業との関連をおさえ,本時の役割を明確にしておかなければならない。
(3) 本時(授業)目標の確認
本時の目標は,目標分析時において明確になっているが,次の点についてもう―度確認しておきたい。
・明確で,具体的な目標になっているか。
・小単元の中で本時の役割を十分におさえた目標になっているか。
・児童のレディネスや学習能力を考慮した,どの児童にも到達させなければならないものをおさえて いるか。
・施設・設備の条件を考慮しているか。この中で特に留意したいのは,目標の具体化と児童の実態についての配慮である。目標の具体化については教育工学的手法等の開発とともにいっそう研究がすすめられているが,要は,なにを,どの程度,どのようにしようとするのか明確にしなければならないということである。目標分析においてとらえた目標(指導目標)から児童の変容を測定できる目標行動を設定し,更に下位目標行動を設定することは意味のあることである。また,この目標の具体化は,教材内容とともに児童の実態とのかかわりが大きい。つまり,単元ないし小単元の目標は,抽象的てあり,児童の実態に即応しにくいという傾向にあるが,本時の目標は,具体的であり実態に即応しやすい。そういう意味あいから下位目標行動は,児童の実態を最も生かしやすいといえる。
(4) 指導過程の構想
目標のは握のもとに授業の流れである指導過程を構想するのであるが,目標をふまえた教材の確認が必要であり,そのために教材構造図を確認しておきたい。
次の表は,53年度小学校社会講座受講者77名を対象に調査した「主な採用学習方式状況調査」の結果である。
導入・
終末段階主体的学習 問題解決学習 発見学習 探求学習 検証学習 プログラム学習 割合(%) 44 30 22 7 9 5 1 これによると「導入・展開・終末」の展開過程の多いことがわかる。その採用の理由はさだかではないが,探究学習のように単元構成のは握なくしては採用できない指導過程に抵抗を持ち,1時間の授業でもまとめるのがたやすい「導入・展開・終末」の採用になったのではないかと想像される。もし,そうであるとすれば,単元の目標・教材を分析したことによって多種多様の学習方式が採用されるはずである。その際,注意すべきことは,その学習方式の指導過程の採用をもってこと足れりとする形式的なやり方である。それぞれの学習方式は,特色ある指導過程を編みだしたがその編みだされた経緯について十分は握しておく必要があるということである。井上弘氏によれば,教材は概括的教材と要素的教材と実践的教材にわけられるが,それぞれの教材の本質を殺してしまうような指導過程の採用は避けねばならない。ある学習方式―本やりの採用は,そういう意味からいっても好ましいものではない。それはともかく,児童の主体的な学習活動を促す指導過程を採用したいものである。
指導過程にそって教材の配列と時間の配分を行うわけであるが,児童の思考過程に即した配列でありたいしヤマ場のある授業にしたいものである。
時間は,思考や作業などの活動の質と量に応じて配分するとともに全児童が活動するのに十分な時間とフィードバックして指導できる時間もとりたい。