福島県教育センター所報ふくしま No.38(S53/1978.10) -006/030page
い。(ミルク類が入っていると不透明な溶液になる。)これらの素材は,身近かにあり,親しみやすく,溶けてい く様子や溶けた後の様子がとらえやすく,溶かした溶液を使って活動できるのでとりあげていきたい。
ここで,砂糖とせっけんについて更に詳しく溶解を考 えてみたい。
砂糖はその分子が規則正しく並んでいる結晶である。それを水の中に入れると結晶の表面に水の分子が結びつ き,砂糖分子同志の引力よりも砂糖の分子と水の分子との引力のほうが大きくなって,砂糖分子は水の分子の中 に移動する。これが溶解の第―段で,結晶の破壊(同時に水和)である。次に,それらが水の中へ安定状態でち 、らばり元に戻らなくなる拡散現象を経て拡がっていく。 これが第二段階である。溶解はこのような過程をとっておこる。
従って,砂糖は分子にまで破壊されて水の中に散らばっていくので,氷砂糖のまわりにゆらゆらしたものが見はやわらかくならないで堅いまま溶けていくのである。
これが溶解の本質なのであるから,溶解は「溶質がこわれて,溶媒の中にちらばって見えなくなり,透明な溶液になること」という概念をしっかりうえつけなければならない。
せっけんの場合,水中では次第に水を吸収してやわらかくなり,やがて形がくずれ,小さいかけらになったり,あるいはいくつかの分子の集合体になって水中に散らばった状態になるので,砂糖の場合とは異なっている。
しかし日常の生活経験からせっけんを取りあげる場合が多いと思われるが,真の溶解と溶液を正しく認識させたあとで,ある大きさの粒子で水の中に散らぱって存在し濁りをつくるものとして「せっけんのような溶液」をとりあげたほうがよいのではなかろうか。
具体的にはどのような学習過程が考えられるのか。
次に―つの例をあげてみたい。
3.展 開
物を水に入れて,溶けていく様子を観察しながら,「溶ける」変化をとらえ,溶質と溶媒の変化に気付きその意味を理解することを主なねらいとする。
準備
ビーカー(200cm³,または透明なコップ)溶解観察用の棚(下図参照)砂糖 (氷砂糖,ザラメ糖など)あめ玉(各種)
溶解観察棚(厚さ1mmの塩ビ板で自作する)