福島県教育センター所報ふくしま No.38(S53/1978.10) -012/030page

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さいな事からが多い。自分自身のあせりや,自我意識過剰が基底にあり,これがきっかけと結びついてどうにもならぬ不安や緊張から,身体症状を起こすのである。

登校拒否のきっかけを分類すると次のようになる。

<表3> 「登校拒否のきっかけ」
 小  学  生   中  学  生   高  校  生 
・席がえ
・給食
・クラスがえ
・友達がいじめる
・先生がこわい
・しかられた
・体操がいや
・学力低下
・友人がバカにする
・友達がいじめる
・学校が合わない
・勉強についていけないあせり


・学力低下
・緊張に耐えられない
・疲労,病気との結びつき
・学校が気に入らない



学級担任は,(このきっかけを頭におき)常日頃から子どもの観察を十分にし とりくんでいくことが必要になってくる。観察といっても,1クラス40人前後の子どもを,こまかく見ていくことは不可能に近い。だからどうしても,成績のいい子とか悪い子,乱暴する子,反抗する子などに,目がうつりやすい。

しかし,登校拒否におちいりやすい性格特性は,学校生活ではいわゆる「いい子」で素直な,おとなしい子どもに多い。このような子どもは手がかからないので,つい見のがしがちである。ここに担任の落とし穴がある。<表4>からもわかるように,「・目だたない子・口数の少ない子・友だちの少ない子」,との接触を多くし このような子との心のつながりをもつことが非常に大切である。

<表4> 「登校拒否におちいりやすい性格」
・内気で引込み思案な子
・社会性に欠ける子
・まじめできちよう面な子
・行動的な面が不得意な子
・遊びやスポーツに参加するのが苦手な子

3. あらゆる機会をとらえて積極的な話しかけを。

子どもは,先生から認めてもらいたい,みんなから認めてもらいたい,という欲求をだれでも持っている。だから。担任の先生から期待されると,自分を律しその期待にこたえようと努力していくようになる。先生から話しかけられると,子どもは「自分が大事にされている」と思い,
 ・精神的に安定して,円満な行動がとれる
 ・友人に対して寛容になれる
 ・課題へのとりくみは積極的になる
 ・活動が充実し成就感,承認感がえられる
 ・学校生活に生きがいを感ずる
ようになるものである。

従って,担任は,日常生活の場面で 登校時,学級日誌をもってきたとき,廊下ですれちがったとき,授業の準備の手伝いをしているとき,給食のときなど 積極的に子どもに話しかけていくことが子どもの心に活動の火をともすことになるのである。

4.「心の触れ合い」をこそ大切に。

小学生ぐらいだと,体と体のぶつかり合いや,共に活動することによって,先生をよく理解してくれる。しかし,学年が進むにつれ,自分の心をわかってくれる先生をのぞむようになる。運動がへたでも,無器用でも,子どもの心をわかり,子どもの心をゆさぶり,奮い立たせてくれる先生を求めるようになる。

中学2,3年になると,自分の弱いところ,知られたくない心を,誰れにも見せまいと固く閉ざしてしまう。しかし,いったん,先生を信頼すれば,自分から,悩みや知られたくない心を打ちあけてくれるようになるものである。子どもたちは,自分たちをわかってくれる,認めてくれる,励ましてくれる先生を求めている。

「やる気になってやれない子どもを,本当に,やる気になってやれる子どもに,感情を奮い立たせてやる仕事」こそ,学級担任にとって,必要なことではなかろうか。

(2)ひとりひとりを生かす学級経営を。

 1.家庭環境調査で実態のは握を。
  子どもを理解するには,家庭環境を知ることが大変重要になってくる。中でも,親の養育態度はぜひ年度当初に,ひとりひとりの子どもについて,は握しておくことが大切である。すなわち「家庭環境調査」と共に「親子関係診断テスト」等を実施し親の養育態度を正しくつかみ,年間を通しての指導の資料に役立てたいものである。

 2.学期初めにはひとりひとりに十分な配慮を。
  人間の行動は環境に支配されると言われている。子どもは,学級が編成替えになったり,担任が変わったりすると,新しい環境,新しい集団に適応するまで,不安な気持ちで過ごすことになる。おとなしい子,消極的な子などは,特にそうである。こんな時,担任から「A君,いっしょにがんばっていこうね。」とか「今年のB子さんの目は輝いているね」と―声かけられただけで,子どもは,やる気と,自信が,おのずからわいてくるものである。

また,2学期,3学期と学期の初めは長期休業明けでもあり,比較的自由な生活から,規律正しく,きびしい生活へ移ることへの違和感,学習内容が進


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