福島県教育センター所報ふくしま No.38(S53/1978.10) -013/030page

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<研究報告> 昭和52年度 教育研究法講座

問題提示の段階で問題意識を高める指導

相馬市立向陽中学校 佐々木 晋

1. 主題設定の趣旨

(1)研究の動機

 1 理科学習において,自然の事実や現象をよく見つめ,それに疑問や矛盾を感じ,科学的に探究,考察し,処理する能カや態度を育てていくことはたいせつなことである。しかし本校生徒の現状を見ると,自然の事実や現象に疑問を持つこと,解決の見通しを持って,学習しようとする態度や能カは十分とはいえない。

 2 授業中の生徒の学習状況を見ると,受動的な態度が多く,与えられた問題などは,教科書や参考書を頼りにして,安易に結論を出してしまう傾向がみられる。また実験には興味を持って参加しているが,なんのために実験したのか,その結果をどう処理し,まとめたらよいかわからない生徒が多い。自ら学習課題を持って,解決しようとする意欲が―般に劣っているように思われる。

 3 学年会や教科部会で「本校の生徒は勉強しないし,授業中はほとんど反応がなく,意欲がない。」ということが話題になり,現職教育の研究テーマに「意欲的な学習態度の育成」をとりあげた。

 そこで,理科では特に授業の導入時の問題をとりあげて,本校生徒の学習に対する意欲を少しでも向上させたいと考え,この研究に取り組むことにした。

(2)問題点

 2 前年度実施した理科学カ検査の領域別の正答率を全国と比較して見ると,本校は知識理解の領域が,全国平均より劣るという結果がでた。

<表1> 教研式理科学力検査領域別正答率

  知識理解 観察実験の能力 科学的な思考
本 校 40 36 42
全 国 46 36 37

本年6月に現職教育で,「学習について」のアンケートを実施した。その中から授業に関する項目の結果をつぎにあげる。

ア.きょうの授業で,何について学習するかわかっていますか。

<表2>
どの教科もはっきりわかる  ほとんどわかっている 半分ぐらいわかっている ほとんどわからない
3.9% 32.9% 54.7% 8.5%

(調査人数 3年 249名)

イ.授業中ぼんやりしたり,関係ないおしゃべりをしていますか。
<表3>
たくさんある ときどきある あ  る
15.4% 72.4% 12.2%

(調査人数 3年 249名)

ウ.授業中質問や発言を進んでしますか。
<表4>
よくする ときどきする すこしする したことがない
1.3% 8.0% 50.0% 40.7%

(調査人数 3年 249名)

これらのことから理科の授業における生徒の学習のしかたや学習態度についての結論を出すことはできないが,だいたいの傾向はつかめると思う。

生徒の半数以上が学習課題をはっきりつかみきれないまま授業に参加していることがわかる。このように生徒の授業における問題点として,学習意欲,学習課題,学習態度等が考えられる。

(3)原 因

 生徒が授業に進んで参加できない原因の多くは,指導する教師側にあると考えられるので,今までの授業


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