福島県教育センター所報ふくしま No.39(S53/1978.12) -006/030page

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これを読んだ時,私はドキッとした。私自身は,3種類の呼び方をしていたことにさえ,全然気がついていなかったのである。不意打ちをくらった感じであった。この時は,女子高校での英語の授業の担当であったが,これを読んで以後,生徒の名前の呼ぴ方には慎重にならざるを得なかった。また次のような声もある。

ここに1つ重大なお願いがあります。私たちにはもう関係ないのですが,後輩のためにも……。先生1月18目に実施した学年末テストを思いだしてください。あの問題をタイプして刷ったのは,まちがいなく先生のはずです。3年間,先生の字を見てきましたからわかります。もしありましたら答案用紙をもう1度見てください。先生は,先生の字の大きさであのスペースに解答がすべて書きこめると思われますか?……(中略)いつも小さな字で書いている人にはあまり気にならなかったようですが,私のようにどうしても小さくは書けないという者はたいへん困りました。私など5の解答を書くときに,あまりスペースが狭いので,もしかしたらまちがっているのではないかと真剣に悩みましたし,1の日本語を書くところでは通常の2倍もの時間がかかってしまいました。……(中略)小さなことと思われるかもしれませんが,テストを受ける側としてはそのようなちがいが,けっこう大きく点数などにかかわってくるのです。これからは,どうぞよろしくお願いします。

上のは答案用紙のつくり方についての要望である。「これからの英語の授業を,少しでもみんなにわかってもらうようにするために,なんでもよいから授業について書いてくださいよ。」といって書かせたが,その内容はまことに範囲が広く,とうてい書かせる前に予想できるようなものではなかった。生徒が自分の授業についてどう考えているのか,教師はいがいにわかっていないということを,その時にしみじみと感じさせられたのである。

こういう,いわば,生徒から教師へのコミュニイケイションが開かれていない状態が長く続くと,次の2つの望ましからぬ状態へと教師を追いやるのではなかろうか。

1) 授業のマンネリ化,その結果としての,まことにもって活気のない教室の状態。

2) 生徒の成績の悪いのを,生徒が勉強しないせいだと一方的に決めつけること。

そして上のような教室を見つけることは,残念たがらそう困難なことではないのである。

4. 自分の授業について,生徒の意見を求めること

授業をわからせるための工夫はいろいろ考えられる。絵の利用とか教育機器の有効な活用等もその1例である。だがここでは,「自分のおこなっている授業について,生徒の意見を求めてみる」ということにのみ絞って考えてみたい。

さて,自分の授業について,生徒の意見を求めることによって,すくなくとも,次のようた効果が期待できる。

1) 生徒に対する理解を深めることができる。

2) 生徒が英語の授業について,何をどう考えているか,その反応をつかむことができる。実さいにやってみると,自分の毎日やっている授業の欠点や,または歓迎されていない点をあらたに発見することが多い。

3) 上の結果として,自分の授業を改善していく視点がはっきりする。それが授業改善へとつながっていく。言いかえると,授業改善のための,具体的なやり方を工夫する示唆が得られる。

だいたいにおいて,授業改善といった場合に,私たちは,学習指導案を中心とした指導過程の検討とか,教育機器の利用方法や,各種教授法をどのように自分の授業にとり入れていったらよいか等に力点を置いてきたようである。

なされた授業の評価も同僚教師による仲間からの評価というものが大部分である。それらはきわめて重要なことではあるが,どちらかというと,教えられる側であるそれに生徒を  receiver  ないしは受容器とみなした上で「どう有効に教材を  input  するか。」ということに視点があったようである。これは,言いかえると教える側の論理の追求である。特に英語という教科においては,その傾向が強い。英語教授法というのは,従来そういうものであったのである。その際,教らえれる側である生徒の事情というものはあまり堀り起されてこなかったといえる。授業を進めるにあたって,時にはみる立場をひっくり返してみることも重要と思われる。教えられる側も人間であるからには,単なる受容器などではない。ここに,生徒の目を通して自分で授業をもう一度みなおすことの意義がある。

5. 方法―ひとりでできる授業診断の確立

方法は簡単てある。準備は,ざら紙を半分程度にきって教室に持っていくだけである。それを渡して,生徒に自分の授業につていの感想を自由に書いてもらうのである。無記名の方がよい。ただ何か書けといっても,とま


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