福島県教育センター所報ふくしま No.40(S54/1979.2) -010/030page

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習会等でのこれまでの受講者と受講率を示したものである。

〈表7〉 教育機器講習会受講者数

主催
県教育センター 市町村教委会
受講者数 受講率 受講者 数受講率
小学校 465人 15.9% 640人 21.9%
65 1.7 573 14.7
530 平均7.8 1.213 17.8
中学校 340 11.4 404 13.6
17 1.2 166 12.1
357 8.2 570 13.1
高等学校 206 6.3
6 1.1
212 5.9
特殊学校 4 2.1
1 0.5
5 1.3
 ※ 受講率=受講者数÷教職員数×100

教育工学講座についてみると,小学校,中学校では受講率が約8%で12人に1人の割合で,高等学校は17人に1人,特殊学校では80人に1人の割合で受講していることになる。

また,受講者数を1校あたりで単純に算出すると,小学校はほぼ1校に1人,中学校は1.4人,高等学校は2.4人,特殊学校では0.3人の割合になる。

小学校,中学校では市町村教育委員会による講習会への参加者も多く,小学校は5人に1人,中学校では8人に1人が受講している。(市町村によって差はある。)このほか小学校教育研究会(小教研),視聴覚教育研究会などの自主的研究団体によるものや財団法人による講習会なども数多くあり,かなりの数の教職員が何らかのかたちで研修経験をもっているものと思われる。

4. 教育機器を利用する上にどのような問題があるか

今回の調査では問題になると思われる項目を列記し,これらの中から,それぞれの学校において当面問題点としてあげられるものを5つ選択する方法を用いた。

小学校・中学校・高等学校・特殊学校のものを合わせて集計した結果はつぎのとおりである。

準備に時間がかかる(機器,自作教材) 70.5
機器が充実していない 65.8
組織的な研修時間がとれない 45.2
視聴覚教室がない(専用でなく使いにくい) 44.5
機器の操作披術,教材製作技術が未熟 36.7
機器活用のための消耗品が少ない 31.3
機器の指導計画への位置づけがむずかしい 30.9
教材製作に必要な機器が少ない 28.6
教師の負担が大きい 18,8
機器の老朽化に伴い故障が多い 17,9
機器や教材の管理がむずかしい 14.0
放送番組や市販教材が生徒の実態に合わない 11.5
地域的に電波受信等に障害がある 9.0
授業の進度がおくれる 5.1
あまり教育効果があがらない 2.0
教師と生徒との人間関係を阻害する 0.5

学校種別のデータを示していないが,小学校,中学校高等学校,特殊学校ともほぼ同じような傾向がみられるが,小学校では準備時間の不足が最も多いのに対し,中学校,高等学校では機器の不足が少差ではあるが多くなっている。

全体としてみるとまだまだ教育機器の不足が大きな問題点としてあげられているものの,機器・教材の準備時間の不足,研修時間の不足,消耗品の不足,機器の指導計画への位置づけなど,機器を使用する上での問題点が多くなってきていることがわかる。

また,これまで,教育機器を利用すると授業が遅れ逆効果であるとか,あまり効果があがらない,教師と児童生徒との人間関係を阻害するなどの問題点もよく聞かれたが,今回の調査ではいずれも10%以下をしめし,教育機器の特性,必要性が広く浸透してきているように思われる。

5. おわりに

以上,本県における教育機器利用の現状について,調査結果をもとに述べたが,紙数のつごうで具体的な調査数値や図表など割愛したものも多く,また,そのほとんどは結果の分析にとどめ,考察を省いているため,まとまりのない,わかりにくいところも多いと思われるが,詳細なデータや分析結果は前号の教育機器の所有状況とも合わせて後日,研究紀要にまとめる予定なので,それを参考にしていただくとともに,不明の点は教育センターに問い合わせていただきたい。

本調査の結果を分析していて最も心に残ったことは,本県において教育機器の充実に対する熱意や教育機器利用にむかっての着実な努力がすすめられていることと,教育機器を利用した教育が,いま,大きな勢いで高まりつつあるということである。

このようなとき,本調査報告が本県における学校教育をさらに高める上に少しでも参考になることがあれば幸いである。


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