福島県教育センター所報ふくしま No.40(S54/1979.2) -012/030page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

福島県立相馬女子高等学校
〈研究実践校紹介〉

単位制の徹底と履修方法の弾力化

―文部省指定:研究開発校の試み―

福島県立相馬女子高等学校長  村上 啓正


I はじめに

1. 本校の沿革

相馬女子高校は,相馬の発展は女子教育にあるという先賢者の明と地域社会の教育熱によって,明治40年5月l日,相馬市中村に,郡立相馬女子技芸学校として創設された。そして,実科高等女学校から県立移管へと進み,昭和23年県立相馬女子高等学校となり現在に至っている。昨年11月に創立70周年を迎え,卒業生は13,000名にのぼっており,相馬地方はもとより各地方で活躍している。地域では伝統的に名門校の意識が強い。しかし,全国的に高校入学者が93%を越して高校教育再編成の動きが出てきた中で,本校もその例にもれず,能力・進路志望等の多様な生徒を抱えて,教育への模索を続けているのが現状である。

2. 本校の実態

本校は,全国制普通課程24学級編成,生徒数女子1,006名,教職員57名である。

中学校から本校への希望者はほとんど合格するので,入試を安易に考え,成績の上下の差が著しく大きく,最高最低の差は160点にもなっている。

教育センター作成の福島県標準学カテストの英・数国の結果を見ると、本校一年生の学力は数学が県下中学三年生より劣り,英語が中学三年生並,国語だけが若干上回っている程度である。数学などの系統的に蓄積の必要な教科が苦手で,女子の体質に合う国語系が強いということか。

学習意欲は「大体ある」「普通」と答えた者が75%であるが,その実家庭学習時間は1〜2時間ぐらい。予習も「止むを得ずする」というのが60%で自覚的な学習意欲はみられない。進学も四年制大学が少なく,大部分は短大と各種学校であり「未定」というのがかなりおり,進路意識もしっかりしていない。父兄も進路に対して「本人まかせ」が多く女子教育に対する意識は低い。

結局,学習意欲は漠然としたもので,将来を考えた計画的学習がなく,その上学力差が極端に大きいというのが本校の実態である。

資料1 ) 〔レディネス学力テスト〕
     福島県標準学力テスト結果(教育センター作成)

・英語到達率の計算
領域No. 相女
(1年)
県下中学
(3年)
到達率
1 聞くこと 67.1 60.7 110.5
2 話すこと 58.9 60.0 98.2
3 読むこと 78.4 69.5 112.8
4 書くこと 56.0 61.2 91.5
 全 体 66.0 63.8 103.4

・数学到達率の計算
領域No. 相女
(1年)
県下中学
(3年)
到達率
1 数式 59.0 53.2 110.9
2 関数 58.7 64.0 94.7
3 図形 52.4 56.9 92.1
4 集合 32.6 43.0 75.8
 全 体 49.2 52.5 93.7

・国語到達率の計算
領域No. 相女
(1年)
県下中学
(3年)
到達率
読む 1 語 78.2 63.5 123.1
2 語句 68.1 57.5 118.4
3 文,文章 66.4 57.2 116.1
書く 4 語 67.3 50.4 133.5
5 語句 75.6 58.3 129.7
6 文,文章 48.4 38.2 126.7
 全 体 68.4 55.7 122.9

資料2 ) 〔学習意欲調査〕

自宅での学習時間
殆んどやらない 7.9
1時間ぐらい 32.7
2時間ぐらい 31.7
3時間ぐらい 18.3
4時間ぐらい 6.1
5時間以上 1.5

すすんで学習する意欲
充分ある 5.6
大体ある 23.3
普通 52.3
少ししかない 15.3
全然ない 1.2

予習
進んで予習をする 18.1
やむを得ず予習をする 60.4
予習をする気がしない 19.2


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。