福島県教育センター所報ふくしま No.40(S54/1979.2) -013/030page

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(資料3)  〔進路調査〕

進学希望(51.2%1)
進学に対する親の意見
国立四年 8
私立四年 3
短大 14
各種学校 47
未定 23

子供まかせ 58
独自の意見 11
反対 2
不明 11
未記入 17

II 研究委嘱事項

「高等学校において,生徒の多様な能力・適性・進路志望等に対応した学習を図るため,単位制の徹底と履修方法の弾力化を可能にする教育課程の研突開発を行う。」

この委嘱事項が要求きれる高校の現状を考えてみると,

1.高校入学者が全国で93%を越して能力・適性・進路志望等の多様な生徒が多くなって来た。それに対し,従来の教育課程は画一的で選択の余地がない。その反省がなされていること。

2.従来の単位制は,コース制・学年制の枠の中で形骸化し,単位未認定も追試験という安易な方法で認定し,教科目の基礎・基本も身につけず卒業して行く生徒が多いこと。

3.能力・適性・志望に即した教育内容の考察を欠き,また、学習目標も不明確で勢いそれが認定の面でも不完全であったこと。

4.教材についても画一的で、これまた,現在の生徒に応じきれなくなっていること。

以上のような現在の高校が抱えている問題を,前記の研究によって,いくらかでも解決の糸口にしようとするのが研究の趣旨であろう。

こうみて来ると,本校の現状がそのまま研の意図に合致しているとみるべく,本校がこの研を進めて行くことは,誠に当を得たものと考えられる。

また,この研究は,学校教育法施行規則57条の3の特例による現行の指導要領に拠らなくてもよい,という可能な限り研究の自由が与えられたものである。

III 教育課程拐成の基本方針

1.一年生の教科目は,基礎的基本的内容を中心とし共通履修を原則とする。

2.二,三年においては,生徒の能力・適性・進路志望等を考慮して,可能な範囲で選択制をとり入れる。その場合,必修を減らし選択を増やす。

3.HRは自然学級とし,したがって,学校生活は選択学級との二本立てとなる。

4.単位制の徹底を図るべく,学校必修の教科目はその単位を修得するまで再履修の機会を与える。

5.各教科目は,1単位を目安に細分化し,単位制の徹底,履修方法の弾力化、学習指導の徹底の便宜とする。

6.選択の場合,履修は修得を目指すが,止むを得ない時は修得しなくてもよい。

7.学力の徹底的定着を図り,評定の手続きをきめ細かくし,また厳格にして行く。

8.卒業に必要な教科目の修得単位は,80点以上とする。

IV 研究の実践

1.研究対象
 現二年生  352名

2.研究期間
 昭和51年〜54年まで。本年は3年目に当たる。

3.研究の内容

研突の内容は,紙面の都合で,研究委嘱事項の線に沿って,単位制の徹底と履修方法の弾力化を中心にし,それにかかわる単位の細分化と単位の認定状況をからませて行く。

(1) 単位制の徹底

学校必修の教科目の単位は,本校生の実態に即して,高校生として必要なミニマムエッセンシャルズを内容とするものである。これを修得しなければ卒業を認めないこととし,英・数に関しては,未認定単位は再履修の単位を与えた。つまり,こういう形で一つの単位制の徹底をはかったのである。しかし,過去の落第制と違って,学年内での再履修であって学年制の枠内での単位制の徹底を工夫したのである。

再履修講座(特別講座と称する)を持たない教科目は,いわゆる追認の形式をとるが,後述するように厳重な単位認定法によって追認する。

(2) 選択科目についての単位制の徹底

従来のコース制は,単位制の一つの柱である自由な選択がむずかしかった。そこで,本校では二年生よりは三年生と能力・進路志望等によって選択できる,その選択の幅を広げる教育課程を編成した。そして,今までのような履修即修得という形式的な単位制の発想ではなく,あくまで修得を目指すという発想をとった。したがって,選択の単位といえども,その認定は後に述べるように厳格にし,履修の単位はそれなりの努力なくしては修得できないものとした。

(3) 単位細分化による単位制の徹底

単位の細分化の効果は,単位制の徹底や弾力的履修を容易にすることである。すなわち,科目内容を細分化することによって,学習目標の達成が容易になることと,科目選択という概念ではなく、数多い単位から単位そのものを選択する目安が弾力的となるからである。この方向からも単位制徹底のアプローチを考えたわけである。


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