福島県教育センター所報ふくしま No.40(S54/1979.2) -014/030page
(4) 履修方法の弾力化
[1] 生徒の多様化に対応した選択制の導人
二年次には,必修単位を極力抑さえ選択単位を増やした。すなわち,必修単位の地に54単位を選択単位として履修させた。この履修の弾力化を図るため,二つの方法を打ち出した。一つは,止むを得ない場合は履修即修得でなくともよいとした。もう一つは,上記の結果かなりの単位の未認定が出る可能性が強いので,卒業認定を80単位にさえた。
[2] 指導方法による指導の弾力化
単位制の徹底にともなう小単位細分化は,各教科目の指導のねらいを達成する手段でもある。すなわち,教材の精選,構造化を的確に押さえ,基礎的,基本的,発展的教材を生徒の多様化にどう対処させるかである。教育課程の抜本向改善を図ったにしても,やはりそれを裏打ちする指導法の研究が必要であろう。そのことをふまえた上に,生徒の多様化に焦点づけられた1単位毎の指導法が要求されるのである。
次に最も基本となる教科目の選択履修の弾力化面を数学を例にとって説明したい。
(5) 単位選択の弾力化路線
「資料4」のように,二年次の必修科目は9単位のうち3単位である。すなわち,二年必修の数「1」の3単位は,一年次の再履修用と二年次に改めて再履を希望する再学習用の内容とし「特別講座」と銘打った。同じく二年の必修は,「代・幾」の「A」「B」として学習内容の高いものを設定した。これが修得できない場合は,三年次の必修の「代・幾」の再履修へと進む。同じく「数I」を屈修したものも三年次の「代・幾」へ進む。
次に,二年次の選択科目は「解析」の2単位と「数I A」「数I B」の学習内容の高低の教材群4単位を合わせた6単位設定のうちから,2単位選択できることにした。このように,履修の弾力化は数学に限らず全教科が生徒の能力・適性・進路志望等に最も対応できるものとした。
(資料4) 数学科
1年 2年 3年 単
位
計
画
表必修(6) 必修(3) 選択(2) 必修(2) 選択(2〜3) 科目 単位数 科目 単位数 科目 単位数 科目 単位数 科目 単位数 数
I
3 6 代
数
・
幾
何
A図形と式 1 3 解
析
数
I
A数列・極限 1 2 数
II場合の数・確立 1 2 微分
・
積分微分とその応用 1.5 3 ベクトル 1 微分・積分 1 行列 1 微分とその応用 1. 5
3 写像 1 方程式と不等式 1 2 代
・
幾図形と式 1 2 確立
・
統計確立 1 2 代
数
・
幾
何
B図形と式 1 3 関数とグラフ 1 ベクトル 1 統計 1
ベクトル 1 数
I
B方程式と不等式 1 2
写像 1 関数とグラフ 1 数
I方程式と不等式 1 3
関数とグラフ 1 三角関係
(6) 単位認定(資料省略)
単位認定は,「単位制の徹底」「履修方法の弾力化」を支える礎石である。これを科学的に妥当なものにして,はじめて研究の効果が出て来るわけである。次に要点項目だけを述べる。
[1]各教科目は,1単位毎に「単位の学習目標」を掲げ,また,どんな能力面を評価するか,その「評価目標」を押さえた。
[2]履修した生徒全員に,その基準で共通定期テストを2回以上実施し,それに評定を加味する資料を明示し,集計整理してグラフを作成し,その客観性,妥当性、科学性を持たせた。
[3]生徒の自己理解を深め自主的学習をさせるため,「自己評価カード」を作成した。
[4]上記の評定を記入できるような通信箋を工夫した。
[5]未認定の場合,再履修講座を置く英・数は自動的に再履修させる。この講座を持たない教科目は補充学習や課題学習を今までより密にして,未認定一か月後に追認する。
(7) 再履修講座(特別講座)設置の結果
必修単位未認定の場合は,再履修講座を受講しなければならない。これが今回の重点項目であった。実施結果を,数学B講座(進学希望者講座)と比較