福島県教育センター所報ふくしま No.40(S54/1979.2) -015/030page
して考察して行く。特別講座では「授業が楽しくなった」「数学の力がついた」と,この受講をよろこんでいる。それに対し,B講座では「よかったことはない」「わからない」と答えている。「授業が楽しいのはどういう時か」に対しては,両講座とも「よく理解できた時」と答えている。これで生徒がどれ程「わかる授業」を求めているかがわかる。更に,特別講座を受けて「くわしく説明してくれる」「授業内容が易しい」「ゆっくり進んでくれる」「先生が親切だ」と非常によろこんでいる姿がうかがわれる。それに対しB講座は「速すぎる」「むずかしい」と悲鳴にも似た声が返って来た。
なお,この講座を設定したところ,案に相違して単位を認定された者までが再受講を希望して来た。授業を進めてみると,劣等感、を持っている様子が見えない。「自分はできないんだからわかり易く教えてくれる講座を希望したんだ」ということで,世にいう差別感,劣等感は年間を通してみられなかった。英語の特別講座でも国語の選択1講座でも同じ傾向がみられた。
この事から,生徒の劣等感は,世間一般が杞憂しているのとは違って,「わかる」「わからない」ということから起こる劣等感であるらしい。もちろん,単位認定者も受け入れたので希望の講座ということで,劣等感を起こさなかったという面も考えられる。
V 今後の課題
1.二年次の反省に立って,生徒の多様化に一段と対応できるように,選択科目をより多彩な教材群に分けた単位設定を多くして,選択し易いものに工夫する。
2.研究開発の成果は,個々の生徒の将来に視点を当て,より効果のあるように,学校自体の発想の転換をして研究を進めて行きたい。