福島県教育センター所報ふくしま No.40(S54/1979.2) -018/030page
(2)の授業研究については,全体協議会等においてかなり話し合いが深められて個々の理解はできていても,学年やブロックでの話し合い,あるいは実践場面にまで共通した理解が得られていないことがわかる(ア・イ)また,研究が本格的に進められるにつれ,概括的な理解で納得せず,さらに具体的な話し合いが望まれている(ウ)
(3)の研究計画については,研究の見通しの弱さを憂えているものが多いことがわかる。現状から見て,ここでいう見通しとは「まとめの段階において理論づけた結論を引き出すこと」と受けとめたい,つまり結論を引き出すための研究仮説や,授業研究を裏付ける学習理論を確かなものにし,全員が納得することのできる到達段階までの構想を明確化することが望まれる。このことは(ウ)の問題とも関連しており,とかく授業研究にばかりとらわれがちな研究の深みについての警告である。
(ア)は校内研究に必ず付随する問題であるが,限られた時間の中で,より多くの効果をあげるために,計画段階における対策がまず考慮されなければならない。
(4)によれば,研究時間の問題の中で,特に思うように会合を持てないことに不満が表われている。もちろん(イ・ウ)のように個々の研究時間さえも満足にとれない現状ではあるが,各自の研究や授業実践の基礎となる自発的な諸会合が,より多く勤務時間内に組み込めるよう運営上のくふうが一層必要である。このなかで(イ)の回答は女性に多く,女教師の生活スケジュールをよく配慮した研究計画を組むことを忘れてはいけない。
(5)の指導や助言の問題では,研究活動が自問自答に終始することが多く,グループ討議もとかく安易な妥協に陥りやすい,適切な助言が与えられず(イ・ウ)研究が行きづまるほど核心をつく指導助言が必要となる(エ・オ)しかし,それが満足できないとき,他校の研究や実態から何かを求めようとする心情が働く(ア)ことが予想される。
従って実践意欲を高め,研究心を刺激することのできる推進役の指導助言のあり方について,さらに研究が必要である。
(2) 改善策,及び実践
[1] 研究意識の向上
ア. 共通理解の深化を図る
共通理解が行きわたっていないひとつの要因に研究主題の解明の意図が研究推進委員以外の教師に十分納得されていない面があると考えた。
総体的な研究活動が各部門を刺激し,各部門の活動が総体に反映するシステムを尊重して,あらためて共同研究の趣旨・主題設定の経過,各部門の研究のねらいなどについて意見の交流を図ることにした。推進委員会における主題の再確認,そして主題のもつ価値,内容についての全体協議会,あるいはそれを受けて個々の課題へ結びつけるためのブロック研究会の開催,さらにひとりひとりの課題をブロックに集約し,それを全体協議会にはね返すなど,基本研究,実践各部門の意志の疎通につとめた。
その結果,教師各自のもつ課題と研究主題との関連が明らかとなり,共通の立場に立って取り組もうとする志向性がうかがわれるようになった。
イ. 実践意欲を高める協力体制づくり
全職員が年間を通じそれぞれ授業研究を受け持ち研究課題を提供することを申し合わせ,学年ブロック協力のもとに授業を中心とする実践研究を着実に実施した。実施にあたりブロックのリーダーは,個々の役割が尊重される協力体制づくりの強化につとめ,推進委員は随時助言指導につとめて研究ムードの醸成を図った。
各職員がそれぞれ同等の役割を受け持つようになった結果,消極的,傍観的な意識が薄らぎ日常の会話の中にも共通の話題が交わされ,時を惜しんで助言を求める姿が目立ってきた。
[2] 研究を阻害する問題の改善
ア.各部門の活動内容の明確化と,連携の緊密化を図る。