福島県教育センター所報ふくしま No.41(S54/1979.6) -012/038page
表Tは,点の値が1から始まって,1キザミで4 まで,おのおのの項打ち切り誤差が10 −10 より小にな るまで各項を計算し,kの値がいくらのとき,第何 項まで計算して,最終的にその和(確率)P(k)はい くらであるかを求めさせたものです。表1の1'(丸囲み数字)の □内の三段重ねの数字は,上から一段目は, k=1のときを示し,二段目の数字は,(項打ち切 り誤差が10 −10 より小になるのは,この約数の第(10 +1)項目から,すなわち)この約数の第10項まで の和を求めたことを示し,最下段の数字は,その和 (確率)が0.3413447460であることを示しています。 □の上の10段重ねの数字は,k=1としたと きの,2(丸囲み数字)の{ }の中の第1項から第10項までの 値を計算させたものです。表Iの1’(丸囲み数字),2’(丸囲み数字),3’(丸囲み数字),4’(丸囲み数字) をごらん下さい。これらの結果は,すでに,(※)の ところで調べておいたとおりになっています。たと えば,4’(丸囲み数字)においては,たしかに,第7項からあとの 項では,条件Aをみたしていることがわかります。
表2は,kの値が0.1から始めて,0.1のキザミで 4まで,項打ち切りによる誤差が10 −10 より小なるよ うにに電卓に計算させたものの一部です。三段重ね の数字は,上で説明した数字と全く同じ意味のもの です。すなわち,上から,kの値,項打ち切り誤差 を考えて計算した項の数,その和(確率)の順にな っています。なお,この表2の全部を作成するのに, 電卓の要した時間は,約35分ほどでした。
ところで,手もとにあるこの電卓は,小数点以下, 15桁目から下は切り捨ててしまいますので,これら の表の数値には,切り捨てによる誤差もかかわって いますが,それらは、ごく小さいものと考えてよい でしょう。実際,この真の数値と,新編統計数値表 (統計科学研究会編,河出書房)の数値とくらペて みますと,新編統計数値表では小数点以下7桁目ま でしか出していませんが,その7桁目まで見事に一 致しております。
以上,正規分布表の作成法についてのべましたが この表の数値のうち,とくに,正規分布1こよる推定, 検定の際によく用いられるものは,右図,表3の 値です。それで,こういうよく使われる大切な数値 は,暗記しておくと大変便利です。私は,これらの 数値を,次のようにして覚えています。
ヒトクロー ニコヤか
1.96 して 2.58
○○ゴト ヒト ニミナラウ
1.65 は1% 2.33
なお,コンピュータ関係の本を見ますと, Hastingsの近似公式を用いて正規分布表を作成して いますが,この近似公式の導出法について書いてあ る本は見当りませんでした。