福島県教育センター所報ふくしま No.41(S54/1979.6) -013/038page
昭和54年度
教育センターにおける主な研究・研修事業とその内容
〔主な研究事業とその内容〕
研究と研修の一体化という視点から,昨年度来, 教育センターにおいては組織機構の大幅な改編を進 めてきた。そのことと合わせて,特に研修事業推進 の基盤とも考えられる研究事業の,よりいっそうの 充実強化を図ってきた。
ところで,この研究事業推進にあたっては,本県 が当面する教育上の課題や,学校における教育実既 上の問題等を対象に,かつ全国的研究の動向なども 十分ふまえながら,その解決のための基礎研究を行 って,学校経営や学習指導等の改善に積極的に寄与 できるような研究にしようと取り組んでいる。
1.主な研究主題
本年度,プロジェクト・チームを編成して取り組 んでいる研究主題は下記のとおりである。
(1) 学校経営の改善に関する研究
(2) 授業研究と評価に関する研究
(3) 福島県標準学力診断検査問題に関する研究
(4) 教育相談に関する研究
これら4つの研究の内容をそれぞれ紹介する紙数 がないので,今号では「授業研究と評価に関する研 究」について次にあげてみる。
2.授業研究と評価に関する研究
(1) 研究の趣旨
校内における授業研究は,一般に次の三段階を ふんで行われている。
1 事前研究……授業研究の研究主題を決定し,これの解決策を位置づけた指導実の作成 までの段階
2 授業観察……研究授業の実施・観察・記録の段階
3 事後研究……観察・記録をもとにして,研究主題がどのように解決されたかなど, 指導案の改善点の指摘と,指導案の修正案等の検討の段階
このような段階をふむ授業研究実施上の問題点に ついて,昨年9〜10月にあたって,県内全小中学校 対象の調査をした結果,最大の問題点として
1 研究の時間が十分とれないこと。
調査回答によると本県小中学校における1 回の授業研究の各段階にあてられる研究時間は,およそ
・事前研究の段階……2時間
・授業観察の段階……1時間
・事後研究の段階……2時間
事後研究は,ほとんどの学校が研究授業実施当 日に行っている。これは校内組織による授業研 究の,1回当りの平均的な時間配分と考えるこ とができる。即ちこの「2−1−2方式」を前 提とした研究をする必要があるということである。
2 研究授業の指導案の作成が難しいこと。
3 授業のねらいが,どれだけ達成されたかの判定が難しいこと。
などの3点が数多くあげられていた。
(2)今後の研究
県内小中学校の実態に即した研究を推進するた めには,さきに述べた前提条件ともいうべき,2 −1−2の時間方式の授業研究において,これら の問題点をどのように克服していったらよいかと いうことである。
そこで,一応,次のような研究仮説のもとで本 年度の研究をまとめていこうと考えているところ である。
2−1−2方式の授業研究において,本時の 指導目標と研究主題との関連を明確にし,研究 主題の意図,解決策を明確に位置づけた指導案 を作成すれば,授業観察の場面,視点,方法が 明らかになり,事後研究の話し合いが焦点化さ れ,まとめが効果的になされるであろう。 学校の授業研究推進に役立つ「2−1−2方式」