福島県教育センター所報ふくしま No.42(S54/1979.8) -005/034page
小学校教材 川 原 の 植 物 観 察
―松川 の下・中流部―科学技術教育部 平山 宏
1.はじめに
小学校の理科で,植物の育ち方についての学習を指導する場合,まず第一に大切なことは,いかなる植物も自然環境の中に生育しているのであるから,できるだけ生の自然に目を向けさせていくことである。人工的な環境の中で育てた一つの植物を調べるだけでは,植物の成長についての真の姿を把(とら)えさせることは困難である。
それで,子供達を自然の中に連れ出し,植物が育っている現実の姿にできるだけぶっつけてやるように指導計画を立てる必要がある。これまではその必要性が認識されていても,時間の制約上,実際には極めて困難であったが,このたびの学習指導要領の改訂で,時間的にゆとりが生まれるようになってきたので,これからの理科、とりわけ生物教材の指導では積極的に野外観察を取り入れたい。
ところが,子供達を野外に連れ出すと,教室からの解放感から勝手気ままになり,何を観察させたのか,わからなくなってしまう。それ故,教師は「どこに,なにが,どのような状態にあるか」事前調査をして,授業の中でその教材をどのように生かすか研究しておくことが必要であろう。
そこで,福島市内を流れる身近かな松川の下・中流部の川原の植物観察を行ったので紹介する。
2.川原の植物観察のための準備
○ 服装
川原は,水たまりがあったり,ぬかったり,薮(やぶ)があったりして,行動が束縛されるので,汚れても差しつかえないような服装にする。
長そで,長ズボン,ゴム長靴,帽子は縁の広い麦わら帽子がよい。(夏は特に必要),手袋,手拭い
○ 観察・記録用具
ルーペ(10〜20倍),植物図鑑(ポケットサイズ),巻尺,折尺,胴乱,ノートと鉛筆,ノートはポケットサイズの大きさのメモ帳でばらばらにならないもの,カメラは記録に残すのに有効である。
○ 救急用具
グループで出かけるときは用意が必要である。
3.川原の植物観察のしかた
まず,川原に出かけて,調べようとする地点の川原の断面を,スケッチし,生えている植物を調べる。
つぎに,写真1のように汀線から堤防に向って巻尺をはり,その線上付近に出現する植物を図1の記録用紙に記入する。(線状測定法という)またその土地の状況もメモしておく。
写真1 線状測定をしているところ
図1 記録用紙
図2 松川での調査個所