福島県教育センター所報ふくしま No.42(S54/1979.8) -006/034page
4.A地点(松川の下流部)の川原の植物
図2のA地点は,四号国道松川橋の西約300mのところである。写真2がその全景で,その川原の断面と主な植物の植生のようすをスケッチしたのが図3である。さらに,汀線から堤防域まで線状測定をして,植物がどのように分布しているかをまとめたのが図4である。
写真2 A地点(松川の下流部)の全景
図3 A地点の川原の断面と植生のようす
図4 A地点の線状測定の結果
汀線から4mまでの不安定帯の礫地・砂泥地にはコウガイゼキショウ,イグサ,ミゾソバ,ウナギヅカミ,タウコギ,イヌコリヤナギなど草丈の小さい植物が疎生している。つぎに,4〜21mまでの半安定帯の砂礫地には,ヨモギ,ヒメジョオン,ヒメスイバ,オオマツヨイグサ,ススキ,ヒメムカシヨモギ,メヒシバ,などの植物が見られ,土地が乾燥していて草丈が低い。ここでは,5月の調査で見られたヒメスイバ,ヒメジョオンが姿を消し,代わってメヒシバ,ヒメムカシヨモギの芽生えが数多く見られた。これは乾燥が続いた後,梅雨の降雨のため一斉に発芽したものと思われる。さらに,21〜30mまでの半安定帯でも富栄養化した壌土には,写真3のように,イヌコリヤナギ,オオイタドリ,ススキなどが草丈2m以上になって繁茂しており,その下床にヨモギ,ヤエムグラヘクソカズラ,カラスノエンドウなど密生している。
写真3 イヌコリヤナギ群落
5.B地点(松川の中流部)の川原の植物
B地点は,福島刑務所通り新松川橋の西約800mのところである。その川原の断面と主な植物の植生のようすをスケッチしたのが図5である。さらに,線状測定の結果をまとめたのが図6である。
図5 B地点の川原の断面と植生のようす
図6 B地点の線状測定の結果