福島県教育センター所報ふくしま No.42(S54/1979.8) -010/034page
(9)モルタルをつめる。
写真13 モルタルをつめたところ
窯底と端子のすき間にはモルタルをつめる。底は凸凹をなくし平らにならす。
(10)上蓋をふさぎ待ち蓋(色見ぶた)をつくる。
コンロのふたには,真中に直径5cmの穴と,周囲に9つの小穴がある。小穴はモルタルで,真中の穴には写真右のように,取手(とって)のついた粘土の塊(かたまり)でふたをする。これを持ち蓋とする。
(11)コード(長円形コード・15A用)を取りつける。
耐熱端子にコードを接続するが接続端子のコードの先端には,できれば圧着矢形チップをつけて接続すれば申し分がない。もしなければ,ていねいに銅線を鍵状にまるめ,はずれないようしっかりナットで止める。ここが最も肝心な所で,ぐらぐら動いたり,線が外れると短絡する危険性があるので注意が必要である。
(12)端子カバーをしてネジ止めする。
これで器具の取りつけは全部済みですが,コンセントと端子のコードの中間に,できれば中間スイッチ(12A・250V/310円)を挿入してください。
これで全部完成です。写真で見ると何となく粗雑な細工に見えますが,陶芸窯に体裁は不要です。使用しているうちに愛着を覚えることでしょう。
4.使用法について
窯ができるとすぐ電源を入れたいところですが,モルタルや粘土が少し乾くまで半日くらい待ち,テスターで短絡の有無を確認したのち電源を入れてください。
(1) 準備 ニクロム線が1KWの場合は10Aの電流が流れるので,電源コンセントが10A以上の許容電源であるかどうかを確かめ,床が不燃焼の場所,家ならば縁側や土間に煉瓦を置いて,その上で焼成する。そして,そばにはバケツに水,ヤットコ,ふたや被焼成物をおく煉瓦等の準備,手には軍手等の手袋を準備してください。窯が小さいので,この窯が工場等の炉の温度とほぼ同じだということを,つい忘れ勝ちです。くれぐれも「火の用心」を念頭に。
(2) 空焚(だ)き ○スイッチONから5〜10分間は湯気が上る。ときどき持ち蓋を取って水分を放出させてやります。 ○20分後には、ニクロム線だけでなく,窯内が赤茶色になる。 ○30分後,窯の周囲に触れると熱くなる。 ○約1時間後には,ニクロム線と窯の色が一様に赤色になる。 このときの温度は800℃ですが,蓋を取るとすぐ温度が下がります。
もし,手元にゼーゲルコーンやパイロメータ(熱電対温度計)があったら,時間対温度表を作っておくことをおすすめします。 ○1時間後スイッチOFFにして自然冷却するか,楽焼の本焼または七宝焼をしてください。
(3) その他 ○ニクロム線は焼成中,柔かくなり,溝からはずれることがあります。慌てずに電源を切って溝に戻してください。 ○高価ですが「純ニクロム線」や「カンタル線」を用いると高温に耐えます。 おわりに,具体的な使い方や製作技術等については,皆さまの創意工夫を待つ以外にありません。実践・改善等のご意見を賜われば幸甚です。