福島県教育センター所報ふくしま No.42(S54/1979.8) -011/034page

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学 校 経 営

校内研修の推進に当たって

経営研究部  岩 見 豊 一


 一般に,どこの学校でも,校内研修とか現職教育といったことばで,教師の専門性を深める,資質の向上を図るといったことを目標として,週または月に何度かの集まりが持たれている。しかし,そこで行われている校内研修について,教職員の多くが満足感を持って参加しているかというと,そうはいえないのが現状のようである。「現職研修に関する調査」(福島県教育センター ”紀要”No,17 S50.3)に見られた校内研修についての満足度調査では,「満足である」と答えたものは,小学校教員の40.3%,中学校教員では24.4%となっている。10人のうち6〜7人が「満足である」と答えられない校内研修では,研修に参加するときの意欲も意気込みもそがれてしまっているに違いない。とくに校内研修は,教職員の合意によってその課題意識に答えることもできるし,校内の実情によってその方法が決められ,常時の研修ができるという点から,教職員研修の基本であるとされているにもかかわらず,このような状態では,研修の効果をあげるとか,その成果を日々の教育実践に反映させるなどということは,思いもよらないことと思われる。
 そこで満足感を持って参加できる校内研修、日常の授業実践に結びついた校内研修のあり方を探ってみたい。

1.。校内研修推進の障害はなにか
 校内研修を阻害する要因について,ここに興味ある二つの調査がある。一つは,前掲の県内小・中学校の教員を対象として実施した「現職研修に関する調査」(回収状況 小学校80%−136名中,中学校90%−87名中,1校1名)である。もう一つは,日本教育会が全国の公立の小・中・高校から 2,000校を抽出し,性別と年齢を指標にして指定した1校1名の教員に依頼して調査した「教職員の研修に関する第二次調査」(回収状況 小学校70%−1,000名中、中学校79%−600名中,高等学校89%−400名中)である。
  この二つの調査から,校内研修・共同研究の障害についての調査結果をとり出してみよう。指摘の高かったもの五つをグラフに表わすと次のようになる。
 図1「校内研修推進上の問題点−本県の場合−」
図1「校内研修推進上の問題点−本県の場合−」
 ※ 問題点14項目から4肢以内を選択

 図2「校内共同研究の障害点−全国調査の場合−」
図2「校内共同研究の障害点−全国調査の場合−」
 ※ 問題点8項目から2肢選択

 この二つの調査結果に共通する問題点・障害点をとり出し.若干の考察を加えてみる。
(1)どちらも,「時間の不足」が圧倒的に多い。限られた勤務時間の制約の中では,研修時間の確保がむずかしく,大きな課題である。
  現場で望ましいとする研修の回数と所要時間について,当教育センターの学校経営講座に参加した研修者が,次のような報告を行っている。
  学年研究協議や教科研究協議は,小・中学校ともに週1回,全体協議は,月1〜2回必要である。
  また,その研修に要する時間についても,小学校・中学校とも全体協議に120分,学年会・教科部会について90分を確保する希望があり,実際に90分を確保した学校ではおおよそ満足であるとい

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