福島県教育センター所報ふくしま No.42(S54/1979.8) -012/034page

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う結果が出たという報告がなされている。しかし現実には,限られた勤務時間の中で,授業の完全実施,校務の処理,休憩・休息時間の確保 出張,行事等と求めるものが多く,研修時間を確保することがむずかしく,図1・2のグラフのような結果が指摘されたのであろう。
(2)次に多いのが,「研修意欲・研究意欲の不足」についての指摘である。この意欲が十分でなければ,研修は成立しない。意欲そのものは教師個々の問題であると思われるが,その教師の意欲の向上に深く関わるものとして,校長・教頭の姿勢,研修推進者としての主任等のリーダーシップをあげることができるのではなかろうか。また,校内研修の運営の方法,テーマの設定といった点についての教師の実態とのずれも,研修意欲の喪失に関係があると思われる。
(3)校内研修についての「共通理解の不足」や「必要感の弱さ」も指摘されている。これは,前記の「研修意欲」の項でも述べたが,研修課題や研究課題の設定と,その学校現場や教師集団の実態との間に大きなずれがあるからと予想される。
 課題設定がいい加減であれば,解決の必要感にも迫られず,内容や方法についても理解されない,ばらばらな校内研修となってしまうのではなかろうか。

 校内研修の障害や問題点のうち,本県の実態と全国の実態とに共通する部分について取り上げてみたが,これらの問題を少しでも解消するには,どのような配慮のもとに学校経営を行ったらよいのだろうか。このことについて次に述べることにする。
2.よい教育を生み出すための校内研修を,学校経営の中でどう考えたらよいか
(1)研修時間を生み出す配慮
 不足する校内研修の時間を確保するため,県内の学校ではどのような方法で時間確保に努めているのであろうか。その実態調査の結果を示してみよう(前掲「現職研修に関する調査」“紀要”No.17)
 図3は,研修時間を確保する方法について2肢選択したものをグラフに表わしたものである。
図3 「研修時間の確保」(2肢選択)
図3 「研修時間の確保」(2肢選択)

 このグラフから,それぞれの学校が実態に応じて時間確保の工夫をしていることを読みとることができる。なお,現職教育計画により校内研修の時間を月や週の計画の中に位置づけて時間を確保しようとする学校が8割を超えているが,実施の段階になって突発的な行事や出張などが飛び込んできたりして実施不能に陥る事例が多く,意欲を失わせる要因なりかねない。とくに外部からの持込み行事等について,経営者の細かい配慮が必要であろう。
 さて,日本教育会の前掲の調査は,時間外研修の許容度についても質問し,注目すべき調査結果を得ている。時間外研修を「すべて勤務時間内にすべきだ」(43%)とするものより,「時間外もやむを得ない」(57%)を支持するものが多く、また「夏休み等の長期休業中もよい」(82%)「2〜3泊も可」(46%)とする者も出ていることである。これらを見る限り,教師の研修や研究に対しての意欲が低い,不足していると,いちがいにはいうことはできない。
(2)教師の研修意欲を更に高めるものはなにか
 教師自らの研修や研究に村する理解と意欲が不足L一ているというこれまでの指摘を校内と校外を含めた,教育全般にわたる教師の意欲や態度としてとらえなおす必要があるのではないだろうか。
 筑波大学の相川高雄先生によれば,態度は,「自分をとりまく環境の中の,ある事物や事象に対

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