福島県教育センター所報ふくしま No.42(S54/1979.8) -013/034page

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する感情,認知,行動傾向を部分的に規定している内的な構え,姿勢であるとみられている。いわば,その人の内的な心の準備状態(readiness)を指すものである。態度は,後天的に学習を通して形成されると考えられているように,態度形成によるもので,形成されると一貫性をもつようになり,容易に変化しにくい構造になってくる。(略)
 態度は,人物や集団,人と人との相互作用によって生み出されることが多く,それだけに社会的態度(social attitude)……社会的な習慣,集団の規範,権威,組織に対する態度……を,普通には態度と呼ぶことが多い。」(「研修のシステムを育てる」学校運営研究 No.151)と述べている。
 態度をこのようにとらえて教師の研修意欲を考えれば,研修意欲は,
 ○ 教師個々人が,日常の学校生活の中でその識見(例えば,生活や人生,子どもや教育についての見方や考え方)を発揮できる学校
 ○ 校長・教頭以下全職員が研修の価値を認め,進んで研修するふん囲気のある学校
 といった学校の中で,人と人との相互作用によって培われてくると思われる。
 では,そのような学校経営を行うには,校長や教頭,あるいは校内研修推進リーダーとしての主任等は,どのような態度や配慮をもって校内研修に対処したらよいのであろうか。
1 個人として認めること
 校内研修だけにこだわらず,教師ひとりひとりがその学校でなくてはならない人としての自他の承認が必要であろう。本教育センター“紀要”No.26掲載の「現職研修に関する調査」では.「研修を進める上で,自分の役割りは校長に承認されているか」という質問に対して,「承認されていると思う」とはっきり答えている教師は,小学校は24.9%(調査対象 754名、回収率93%)、中学校は18.1%(同じく 81名、85%)に過ぎない。
 このような意識のもとで校内研修が行われたとしても,その実効はあまり期待できるとは思えない。
 三隅二不二氏「リーダーシップ行動の科学」(有斐閣)によれば,企業組織体のリーダーシップに関する実証的研究として注目されるものに,次のような現場監督を対象とした研究をあげている。
 米国オハイオ大学のグループは,監督者の行動について二つの基本的因子を見いだしている。それは,1 配慮因子 2 率先垂範因子である。
 1 は友情,相互信頼,尊敬,リーダーと集団との間のある種の温かさに関連する行動である。一方,2 はリーダーと集団成員との関係を組織づけ,明確にすることに関連している行動である。2の行動が強い監督者は,各成員がとるべき職務や役割を規定し,コミュニケーションの通路や職務遂行の手順をはっきりさせることに特徴がある。
 ある会社での調査によれば,配慮因子が強い監督者は部下から好まれ,逆に率先垂範因子の強い監督者は部下からきらわれる傾向が裏づけられた。また,他の工場では,監督者の配慮的行動が強いほど集団のふん囲気がよくなり,率先垂範因子が強くなるほど集団のふん囲気は悪くなっていた。
 部下の不満や苦情についての調査でも,監督者の配慮が高いほど,率先垂範の低いほど,不満や苦情は低くなるが,配慮的行動が少いと、監督者は,率先垂範の程度に関係なく苦情が多い。配慮的行動が強ければ,率先垂範を強調しても部下の不満や苦情は増大しない。つまり,配慮因子は,率先垂範因子の強化によって生じる部下の不平不満や苦情を減殺する効果を持つといえる。
 上記の研究における監督者を校長・教頭・主任等と,更にこの項の冒頭で述べた教職員に対する「承認」を「配慮的行動」と置き換えて校内研修を考えれば,教師の研修意欲やその学校の研修に対してのふん囲気や態度の形成に,校長・教頭・主任等の果たす役割りの大きいことが理解できる。
2 研修課題や組織に対する自己関与をひきおこすこと
 次に必要なことは,研修課題や校内研修の組織・役割り分担に強い自己関与をひきおこさせることである。そのためには、まず、研修課題がその学校の教師として今解決しなければならない問題から生じた課題であることが前提となる。そしてその課題に対して個々の教師が深く関わっていること,その課題解決のための研修や研究についての役割り分担がなされていることによって,それぞれの教師が当事者として意欲的に立ち向わざるを得ないように進めることが必要であろう。
 こうして繰返し仕事に参加することを通Lて.

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