福島県教育センター所報ふくしま No.42(S54/1979.8) -019/034page
(研究報告) 昭和53年度教育研究講座わり算の計算力を高める指導
福島市立瀬上小学校 白 石 允 宏
1.研究の趣旨
(1)研究の動機とねらい
1 今日「子どもたちの計算力が低下した。」と強くいわれ,新学習指導要領で「基礎的,基本的な知識・技能を,しっかり理解させる。」ことが強調されてきた。
第3学年では,四則計算について
○ 除法の意味を知り,それを用いることができるようにする,と記述されている。
除法は,この学年で初めて指導する内容であり,子どもが大きな抵抗を示す内容でもあるため,除法の意味や計算のし方を正しく理解させることが必要である。特に除法を用いる力をつけるために,筆算形式の原理・手順を正しく理解させ,計算力を高めておくことが大切である。
2 本年度実施した学力テスト(教研式観点別学力診断検査K式4年)の観点別(知識・技能・数学的な考え方)の結果(表1)を見ると,技能が,他の観点にくらべて劣っている。技能の中で,計算技能の結果(表2)を見ると,乗法にくらべて除法の計算力が劣っている。特に筆算形式の計算になると,大きな数になるほど計算力がいちじるしく劣る。学年が進み,小数の除法の計算力になると,より低下している。小数に対する抵抗があるにしろ,基礎となる3学年の除法の計算のし方が理解されていないためであると考える。
上のことから,3学年の整数の除法の計算のし方(筆算形式の原理・手順)の指導が大切であることが強く感じられ,除法の計算力をつける具体的指導法にとりくむことにした。
(表1) 観点別プロフィール ―4学年―
(男68,女59,計127名)
(実施日 昭53.4.9 第3学年用)
(表2) 技能の結果(計算力 )
番号
問題
正答者数
正答率%
17
(4)423×5
110(人)
87
18
(1)70÷9
86
68
(2)200÷10
81
64
85
67
71
56
(2)問題点と対策
1 問題点
子どもたちが.「除法の計算がむずかしい。」という理由として
ア 商を立てること,たてる位がわかりにくい。
イ 余りがでる。
ウ 「おろす」という操作があるなど,である。
学力テストの結果,誤答を考察すると,これらの理由を裏づけるように,商の立て方,たてる位,おろす操作の誤りが多く,無答も多い。
除法の計算は,商を求めるのが模索的であること,大きな位から計算することなどが,他の計算と異なり,この筆算形式の原理・手順が正確に理解されていないところに問題があると考える。
2 対 策
除法の筆算形式の原理・手順を理解させるためには,具体物・半具体物の操作を通し,原理・