福島県教育センター所報ふくしま No.42(S54/1979.8) -022/034page
3 検証の観点
ア 本単元は,筆算形式の原理・手順と練習を,11時間中9時間で指導するので,検証授業1時間での変容をとらえるのは困難であるため,単元全体を指導して評価することにした。
イ 検証授業の評価は,観察と練習問題によって行う。
ウ 子どもの操作に対する意識を調べ,一つの評価に含める。
エ 筆算形式による計算の事前,事後,は持テストは次のようにした。
○ 事前,事後テストの問題は同一とし,は持テストは,一部数値を変えた。
○ 問題数は30問,内容は,商の立て方,余りの有無,被除数に「0」を含むなど,形式を考慮して作成し,利用した。(自作問題)
4 授業の反省
ア お金と操作板を用いた操作に子どもたちは,楽しく,意欲的に取り組むことができた。
イ 「43÷2」の具体的操作のできたものは,29名で,この子たちは,練習問題の2問も正答であり,操作と数の計算が結びつき易かった。
(表4) 練習問題の結果 (単位 人)
問題
正答者
誤(無)答者
33
3(4)
31
4(5)
ウ 具体物の操作のできなかった子は,計算も誤り易い。理解の遅い子(4月の学力テストの結果,段階が2と1の者)に,この操作は良いと考えたが,操作が複雑であったためか,誤答者と無答者が多かった。個々の子に応じた操作の工夫が必要である。
エ カバー用紙の利用は,商を立てる位が明確になり,被除数が大きくなっても手順にそって計算ができ,筆算形式の原埋・手順を理解させるのに効果があった。
オ 「7÷3」「14÷3」の既習の計算と対比させると,「同じだ。」「くり返しだ。」「できる。」といった反応が多く,自信を持たせるのに,また,原埋・手順を理解させるのに効果があった。
カ 具体物の操作ができるようになると,被除数が大きくなっても,自分で操作し,計算の結果を確かめる者が多く,除法の筆算形式の原理・手順の理解を深めるのに効果がある。
キ お金の操作に対する子どもたちの意識は,「おもしろい。」「計算のし方がわかり易い。」「意味がわかり易い。」といった子が多い。反面,「わかり易いがめんどうだ。」「1年生みたい。ばかにしている。」といった子もいる。(理解の速い子,事前テストの正答者。)
しかし,除法の筆算形式の原理・手順を理解させるには,良い方法であると考えられる。
(2)検証と考察
1 結果の考察 (表4)
実施日 事前 11月8日(40人)
(人数) 事後 11月29日(40人)
は持 12月22日(37人)