福島県教育センター所報ふくしま No.43(S54/1979.10) -009/034page

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高等学校学習指導

外国語科(英語)における言語学習の進め方
−聞くこと,話すこと−

教科教育部  大河原  博  美

は じ め に

 言語学習について一番大切なことは,問題の解決ではなく,習慣の形成と実行に関係している。それでは,一般に授業をふり返ってみると,主として,文字面における理解を中心に,文法事項の説明や分析を行い,そして日本語に直すという一面的な指導になりやすく,音声と文字の両面において言語を総合的に理解したり表現したりする,いわゆる言語活動に至っていないのではないか。しかも,教師によるonesided teachingになり,生徒は常にpassive な立場で行われているように思われる。
 このように,teacher−centeredの授業が行われている限り,教えたはずの言語材料は生徒の頭の中に死蔵されたままで,生きて開花することはできず生徒の主体性は生まれてこない。即ち,teacher−centeredの指導からstudent−centered の指導を積極的に実践しなければならないだろう。新学習指導要領の基本方針に「…外国語を理解したり,表現したりする言語活動の基磯を養うことを一層重視し,特に表現力の育成に配慮する。」としている。よく“高校,大学は出たけれど,聞いたり,話したりすることはさっばりできない”ということをきく。それは言語活動の中で「聞く,話す」ことが一番むずかしく,かつ,おろそかにされてきたからであろう。しかし,これからの国際化社会ではそんなことは言っておれない。そこで,ここでは「聞く,話す」領域の言語活動のあり方について考えてみたい。

1 言語活動についての基本的な考え方

 新学習指導要領高等学校外国語科の総括目標の中に「…外国語を理解し,外国語で表現する能力を養い……」とあり,これを受け,具体目標の中に,英語Iでは「聞き,話し,読み,書く基礎的な能力を養う…」,英語IIでは「聞き,話し,読み,書く基礎的な能力を伸ばす…」と示され,また,英語IIAでは「英語を聞き,話す基磯な能力を一層伸ばす…」,英語IIIBでは「英語を読む基礎的な能力を一層伸ばす…」,そして,英語IICでは「英語で文を書く基礎的な能力を一層伸ばす…」と示されている。
 このように,英語を聞いたり,話したり,読んだり,書いたりすることができるためには,実際に英語を聞いたり,話したり,読んだり,書いたりすることが欠くべからざるものである。こうしたことが言語活動と称されている。したがって,言語活動とは,聞いたり,話したり,読んだり,書いたりする言語を総合的に理解したり,表現したりする活動を指すもので,それは,言語の実際の運用につながるものでなければならない。

2 聞くこと,話すことの言語活動の必要性

(1) 話すことの言語活動の必要性
 一般に言語を話すためには,どのようなことが必要であろうか。まず,言語を話すためには,話す必要や話そうとする意欲,話すべき内容がなければならず,さらに,話すべき内容を音声で表現しなければならない。したがって,英語を話すにも,第1に,英語を話さなければならない必要や英語を話そうとする意欲がなければならない。第2に,英語で話すべき内容がなければならないが,話すべき内容を全部英語で話せるとは限らないので,話すべき内容の中から英語で話せることを選び出さなければならない。そして第3に,選び出した内容を英語の音声で表現しなければならない。つまり,英語を話すことという言語活動は上記のすべてを含む活動である。
(2) 聞くことの言語活動の必要性
 一般に言語を聞くためには,どのようなことが必要であろうか。まず,言語を聞くためには,聞く必要や聞こうとする意欲,話された音声を聞き取らねばならず,また聞き取った音声を通して話された内容を理解しなければならない。したがって,英語を聞くためにも,第1に,英語を聞かねばならない必


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