福島県教育センター所報ふくしま No.43(S54/1979.10) -010/034page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

要や聞こうとする意欲がなければならない。第2に,話された英語の音声を聞き取らなければならない。第3に,聞き取った音声を通して,話された内容を理解しなければならない。つまり,英語を聞くという言語活動は上記のすべてを含む活動である。

3 聞くこと,話すことの言語活動と指導案

 現行の学習指導要領のうち,「英語A」「英語B」における聞くこと,話すことの言語活動として,次の6つが示されている。
(ア)日常慣用のあいさつをかわすこと。
(イ)身近なことや行ったことなどについて,話し,聞くこと。
(ウ)身近なことや行ったことなどについて,尋ね,答えること。
(エ)ある動作をするように言い,それを聞いてその動作をすること。
(オ)感嘆した気持を言い表わし,聞くこと。
(カ)身近なことを述べて,相手の人に念を押すこと。
 しかし,今回の改訂では「英語I」「英語II」及び「英語IA」の各科目に共通の3項目が次のように示されている。
 ア 聞くこと,話すこと。
  次の事項について指導する。
 (ア)話題の中心をとらえて,必要な内容を聞きとること。
 (イ)話そうとする事柄を整理して,大事なことを落さないように話すこと。
 (ウ)相手の意向を聞き取って,的確に話すこと。
 今回の改訂でも「日常のあいさつをかわすこと」とか「身近なことや行ったことなどについて,話し,聞くこと」等は当然させたりするわけであるが今回は大綱的な表現ですべてを含んでしまったのである。そして,より重要だと思われる生徒に期待する英語力の基準,例えば,「聞くこと,話すこと」では,どの程度の基準で話したり,聞いたりできるようにさせるかを示した。これらの言語活動は思いつきでなく,計画的にしかも,継続的に行わせて初めて慣れてくるものである。このことから,聞くこと,話すことの言語活動を指導計画の中に明確に位置づけておくことが必要になってくる。

4 聞くこと,話すことの言語活動と指導案

(1) 指導案の改善と工夫
 指導計画を作成するに当たって,聞くこと,話すことの言語活動をその中に位置づける以上,毎時間の指導計画の中でも,聞くこと,話すことの言語活動を明確に位置づけて計画する必要がある。これらの言語活動を行わせるためには,どのような話題を取り上げ,どのような場面を構成し,どのような言語材料を用い,どのような視聴覚教材等を用いるか,また,生徒の興味関心,学習態度,能力,適性や組の傾向などにも配慮することが大切である。
(2) 聞くこと,話すことの言語活動を行わせる段階
 1単位時間の授業において,これらの言語活動をどのような段階で行わせるかについては生徒の実態をよく把握し,考慮するならば,どのような段階においても効果的に行わせることができる。もとよりこれらの言語活動は,その性格上からいろんな場面において柔軟に行うことがよい。
(3) 聞くこと,話すことの言語活動を行わせる工夫
 これからの言語活動を活発に行わせるようにしていくためには,さまざまな工夫が必要であろう。
 例えば,復習の段階では,前時に指導したことばかりでなく,また理解や練習の段階においても,その時間に指導することばかりでなく,それぞれ,これまでに指導したことも取り上げるのは効果的である。あるいは,教科書とは別に適切な放送教材を取りあげたり,工夫された英会話練習の時間を設けたりするのも一方法であろう。

5 聞くこと,話すことの言語活動指導上の配慮

(1) 中学校英語における聞くこと,話すことの言語活動の基礎の上に立っている科目であるから,そのためには,中学校における言語活動,言語材料も知っておくことが必要になる。
(2) 英語を身近かなことに結びつけて用いさせるように指導する。
 聞くこと,話すことの言語活動を行わせるには,英語を遠い外国の言葉と思わせないで,英語を自分自身のことをはじめとして,身近かなことに結びつけ,これを積極的に用いていくように指導することである。そのためには,教師が生徒の日常生活や心


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。