福島県教育センター所報ふくしま No.43(S54/1979.10) -014/034page

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教 育 相 談(その2)

高等学校における教育相談活動充実のために

教育相談部  山 崎 一 雄

1 はじめに

 県内の高等学校の校務分掌の中に,教育相談部,または教育相談係(以下,相談担当者という)がおかれ,その活動が活発化してきている反面,「何を,どのようにすればよいか」と,暗中模索のままの状態にいる相談担当者がいることも事実である。
 学校における教育相談活動は,生徒指導(ひとりひとりの生徒に対して,その個人のもつ各種の条件に即して,具体的・実際的に,その個人の可能性を実現する機能)が,よく行われている中で進められてこそ,初めて意味があり,生徒指導の不十分さの補いを,教育相談に期待することは,誤りといわなければならない。
 この大前提を忘れ,H・R担任だけの世界に閉じこもったり,相談担当者が独走するようなことがあっては,生徒の指導に決してプラスにはならない。大切なことは,両者の協力関係であり,これは単なる校務分掌の組織上の問題で解決するものではなく,相談担当者の力量と熱意によるところが大きいといってもよいであろう。

2 教育相談の計画の立案

 共通理解をはかるために,相談担当者は,教育相談を,「どのような方針のもとに,誰が,いつ,どこで,何を,どのように行うか」を明らかにした計画を立案しなければならない。そして,この計画をみれば,誰もが,こうやっていけばよいということが理解されることが望まれるのである。
 この計画の内容としては,教育相談の基本計画,年間の各時期における相談や相談に関連する教育活動,H・R担任が行う教育相談とその留意点などが盛り込まれるようにしなければならない。
(1) 基本計画を明確にする。
 学校として,どのような目標(ねらい)で,どのような考え方に立って相談を行うかを明らかにしなければならない。このことは,生徒指導の各機能の計画を寄せ集めて立案されるものではなく,生徒や地域の実態等をふまえた教育目標から,どのような生徒像を求めたらよいか,全教師で確認しあう必要がある。
 基本計画が寄せ集めでつくられた学校では,H・R担任と担当者との共通理解が得られにくく,教育目標の達成に障害となる傾向があるので注意したい。 なお,基本計画に必要な「目標・方針・重点目標」の表記上留意すべきことは,次のとおりである。
 ○ 指導目標
 人格形成にあたって,学校教育目標,期待される生徒像などから,その学校として特に強調したい事項を教育相談の観点から明らかにすること。
 ○ 方 針
 教育相談に対する方向づけや,基本的な姿勢を端的に示すものとしてあらわすものであること。
 ○ 学年の重点目標
 教育相談の全体的な構想から,学年に応じた具体一的なねらいや,重点的に指導すべき事項をおさえること。
学年 重 点 目 標
1 ○ 自己の個性や能力を正しく理解させる。
○ 気軽に教育相談室を利用できる態度を養う。
2  

(2) 年間計画を具体的に作成する。
 4月,5月………3月のそれぞれの時期に,H・R担任や相談担当者がどのような仕事をするのかを示したものが年間計画である。
 このような計画を立案する場合,学校全体の流れを吟味して,相談のために,どの程度の時間が確保できるかを検討のうえ,H・R担任が最低限しなければならない活動や仕事を示すとともに,H・Rの実態に応じて弾力的に運用できるように配慮しなければならない。
 ○ 年間計画


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