<研究報告>昭和53年度 教育研究法講座
語順を確実に習得させる音読指導
郡山市立行健中学校
吉 田 勝 人
1 研究の趣旨
(1)研究の動機とねらい
「外人と英語で話したい。」「英語の本を読めるようになりたい。」「海外文通をしたい。」というのが,本校の大部分の生徒の夢であり,願望である。
〔
表1
]
意識調査 1
1. 英語に興味をもっており,やる気がある。 |
87.0% |
2. 英語を一生けん命勉強している。 |
40.1% |
3. 英語を今後,もっと深く広く学びたい。 |
54.4% |
授業や各種テストで目立つことは,英語が読めないことと語順の習得が不正確なことである。効果的な音読指導をすることによって,語順を確実に習得させることは「聞くこと,話すこと」「書くこと」の領域をも高める重要な分野であると考え,この主題を設定した。
(2)問題点
-
学力診断検査実施結果
形 式 教研式全国標準中学H形式
名 称 中学診断学力検査
実 施 昭和53年6月
対 象 第2学年6組,8組 90名抽出
〔
表2
〕
領 域 |
満点 |
得点
平均 |
本 校
正答率 |
全 国
正答率 |
五段階 |
聞く・話すこと |
22 |
13.5 |
61 |
55 |
3 |
読 む こ と |
26 |
20.1 |
77 |
73 |
3 |
書 く こ と |
38 |
25.1 |
67 |
59 |
3 |
-
学力診断検査・事前テスト(自作)の誤答傾向
-
ア 出題形式の例
○次の語を並べかえて意味の通る文をつくりなさい。(22.2%)
〔ア.mine イ.book ウ.is エ.this〕
○次の各語を並べかえて日本文にあう英文をつくりなさい。(25.6%)
トムは3人の中で1番年上です。
〔ア.Tom イ.of ウ.is エ.oldest オ.the〕the three.
○次のA:Bの対話が成立するように,各語を並べかえ,適当な英文をつくりなさい。(24.4%)
A:〔ア.many イ.are ウ.students エ.how オ.there〕in your class?
B:There are forty students. |
無秩序な語を整序させるより,日本文を与えた方がよいし,対話文の中で作らせた方がより結果がよかった。-
イ 誤答傾向
-
正答率30%以下のは次の(ア)〜(エ)の場合であった。
-
(ア) 比較的長い文
-
(イ) 疑問詞の伴う文
-
(ウ) 指示形容詞を含む文
-
(エ) There is(are)〜の文
-
英語を話したり,英文をつくるproductionの面が弱いことがわかった。
(3)原因・対策
-
productionの面が弱いのは,文や文型などの語順が正確でないからと思われる。
-
語順を確実にさせるためには,ただ教科書を読ませたり,文型練習だけでは不十分と思われるので短文を記憶させる手だてをとり入れたい。
-
生徒は音読を好むが,暗記を苦手とし,文を作ることに抵抗を感じている。
-
意味や内容理解の伴わない音読をしているのが目立つので,指導過程の中で音読をする場合の手順を工夫したい。
〔
表3
〕
意識調査 2
1. 英文をつくることはむずかしいですか。
2. 英語の文を声を出して読むのが好きですか。
3. 英語の文を暗記するのが好きですか。 |
はい
はい
はい |
70.0%
63.3%
26.7% |