福島県教育センター所報ふくしま No.43(S54/1979.10) -023/034page

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研究プロジェクト報告

「授業研究と評価」チームからの中間報告
−「授業研究」に関する一研究について−

1 はじめに

 本教育センターでは,現在,学校で行う授業研究の,より効果的なあり方を求めて,プロジェクトチームを編成し,研究に取り組んでいる。以下に,この研究の動機,研究の経過,今後の見通しなどについて述べる。

2 研究の動機

 今日,授業研究は,かつての専門的な研究者の手による授業研究から,教師自身の手による授業研究の方向に進展し,教師は自らの手で授業上の諸問題を克服し,授業を改善充実させ,指導力の向上のために授業研究を行うようになってきている。
 ところで,授業は,教材を媒体とした教師と児童・生徒の有機的な相互作用である,といわれており,いろいろな要素が複雑にかかわり合っている。したがって,それらのつながりをひとつひとつ分析し,再構成することは,もとより困難なことであり,ここに授業研究の難しさがある。
 しからば,一体どのような授業研究が,より効果的なものであるのか。全国教育研究所連盟が,昭和52年度から54年度までの3か年計画の共同研究の主題として,「授業研究と評価」を選んだのは,この問いに答えるためであった。
 そこで,本教育センターでは,この趣旨をうけて,共同研究の主題を「授業研究」にしぼり,昭和53,54年度の2か年計画で研究に取り組んできたのである。

3 研究の経過

(1)昭和53年度の研究について

  1. 本県小・中学校における授業研究の実態調査の実施
     昭和53年度は,所員12名からなるプロジェクトチームを編成し,質問紙法によって,上記の実態調査(悉皆調査)を実施した。この調査は,学校における授業研究実施上の問題点を明らかにし,これを解決する具体的方策を確立するための基礎資料を得ることを目的に行ったものである。すなわち,今日学校で行われている授業研究はどのようなものであるかをまず知り,そこから,授業研究実施上の問題点をつかみ出し,まず,これらの点の解決を目指すことにしたのである。
     この実態調査の結果については,すでに本教育センター紀要第34号にくわしくまとめ上げられているが,以下の記述に必要な点を,次に要約する。
  2. 実態調査の要約
     同紀要によれば,昭和52年度に現職教育の一環として授業研究を実施した学校は,小学校97%,中学校94%の高率を示しており,そのほとんどが,
    ○ 研究主題を持った,校内の研究組織による授業研究
    であった。そのすすめ方は,
     事前研究−授業観察−事後研究 の三段階
    ○ 事前研究……授業研究の研究主題の解決策を位置づけた学習指導案の作成までの段階
    ○ 授業観察……研究授業の実施,観察,記録の段階
    ○ 事後研究……観察,記録をもとにして,研究主題がどのように解決されたかの検討や,学習指導案の改善を要する点の指摘とその修正案等の検討の段階
    をふんだもので,教師は,研究主題の解決を通して,授業の改善,充実,指導力の向上を図っている。
     しかし,これらの授業研究は,何の障害もなく,かつ効果的に行れているわけではない。わたしたちは,この調査から,校内の授業研究実施上の問題点を.次の三点にまとめることができた。
    1)時間がとれないこと。
    2)研究授業の学習指導案の作成が難しいこと


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