福島県教育センター所報ふくしま No.43(S54/1979.10) -024/034page
3)授業のねらいが,どれだけ達成されたかの判定が難しいこと。
昭和53年度の研究は,これらの成果を紀要第34号にまとめることによって一応終了した。(2) 昭和54年度の研究について
本年度は,この研究の最終年度であり,前年度の実態調査の結果浮き彫りされた授業研究実施上の問題点を,いくらかでも解決すべく,所員12名,学校関係13名よりなるプロジェクトチームを編成し,上記の三つの問題点を考察,分析することから研究を始めることにした。
- 問題点1) 「時間がとれないこと」についての考察
紀要第34号によれば,本県小・中学校における一回の授業研究の各段階にあてられる時間は,およそ,
○ 事前研究の段階……2時間
○ 授業観察の段階……1時間
○ 事後研究の段階……2時間
で,事後研究は,ほとんどの学校が研究授業実施当日に行っている。多忙な学校にあっては,校内組織による授業研究ではあっても,これにあてる時間は,そう取れない現状がうかがわれ,これらの時間は,一回の授業研究にあてられる時間の上限であると考えられる。
学校において,授業研究のための時間をどのように確保するか,という問題は,今回の研究としては取り上げないことにし,この時間的制約を一応認め,これを前提として研究を進めることにした。
- 本年度の研究の出発点
わたしたちの研究対象とする授業研究は授業研究ということになった。以下,この授業研究を,「2−1−2方式の授業研究」と呼ぶことにする。
○ 研究主題を持った,校内の研究組織による
○ 事前研究−授業観察−事後研究の三段階をふみ
○ この三段階に,2−1−2の時間の制約のある
このように,対象とする授業研究を限定すると,この「2−1−2方式の授業研究」実施上の問題点は,2),3)の二つになる。わたしたちは,これらの問題点の解決によって,より改善された授業研究を確立すべく,まず,この解決に焦点をしぼったのである。本年度の研究の出発点は,ここであった。
ここで,「2−1−2方式の授業研究」について考察しておく。この方式の授業研究の性格を知ることは,後に述べる問題点2),3)の分析を理解するのに必要であると考えるからである。
- 「2−1−2方式の授業研究」について 授業は何年やっても難しい。よく,「本当に,心から満足できる授業ができたと思うのは,年に何回か数えるほどしかない。」というベテラン教師の話を聞く。ここでいう授業とは,いわゆる「本時の指導目標の達成」だけをねらいとした授業のことであり,それだけでも「難しい」というのである。
この研究で,対象とする授業研究の授業は,「本時の指導目標の達成」のほかに,「研究主題の解決」という課題を持っており,この二つの課題は,密着している場合もあり,そうでない場合もあるが,とにかくひとつの授業の中で,この二つの課題の解決をはからなければならないのである。ふつうの授業での,「本時の指導目標の達成」だけでも大変なのに,この授業研究では,「研究主題の解決」までも要求されるのであるから,教師自らが自らに課した研究とはいい大変雉しいことであり,それには,教師の力量と努力とが要求されるであろう。
ともあれ,わたしたちは,この授業研究の,その実施上の問題点の解決を,まず目指して,研究を進めることにしたのである。
- 問題点2) 「研究授業の学習指導案の作成が難しいこと」についての分析
この授業研究の研究授業でねらうものは,「本時の指導目標の達成」と「研究主題の解決」であった。このうち,前者については,少なくとも専門職である教師は,これが困難である,などとは言ってはいられまい。とすれば,問題点2)「研究授業の学習指導案の作成が難しい」というのは,「研究主題の解