福島県教育センター所報ふくしま No.43(S54/1979.10) -028/034page
学校経営 <研究実践校紹介>
自ら考え工夫して実践する児童活動
−読書習慣づくりと体力づくりをめざして−福島市立茂庭小学校
I はじめに
1.地域の実態
本校は福島市の北部に位置し,四方を山に囲まれた村落にある。米産,果樹栽培とわずかな養蚕・畑作を中心に,山腹まで耕作地として開かれている。
授業参観日等の出席もよく,父母の教育的関心は高く,学校への協力は良好である。福島市の中心部まで車で40分と近いせいか,共働きする傾向が進み,都会の生活様式が急速に入りこんできている。2.児童の実態
児童の意識調査によると,本校の児童は明るく素直で,指示通り実践することはできるが,積極性に欠け,学習や仕事に対する構えが弱く,自己表現が思うようにできない。よりよい生活を築くための問題を発見したり,解決方法を考えたりする能力が弱いということが明らかになった。3.学校の実態
児童数は,本校117名,分校16名,本校は1学年1クラス,分校は2個学年1クラスの複式学級である。児童数は減少しつつも,横ばい状態が続いている。職員数12名と少ないが,全員一致協力, どんな小さな問題でも,すぐに話し合い,全員で解決していく態勢ができている。
昭和53・54年の2年間,福島市教委から特別活動の研究学校として指定され,標記の主題のもとに,全職員一丸となって研究実践にあたってきた。II 研究主題設定の趣旨
本校では,「ひとり学びのできる子ども」「じょうぶな子ども」「正しいことのできる子ども」の育成をめざし,長年にわたって努力してきた。「子どもというものは,本来,学習意欲や行動意欲が旺盛で,何でも知りたがり,やってみたがるものである。」といわれる。それは自分の持つ能力を発揮する喜び,内的充実感への欲求があるからだといわれる。われわれもこの考え方に立ち,子どもの内発的意欲を伸ばす指導を特別活動の場に求め,特に「読書習慣づくり,体力づくりにはげむ態度を身につけさせるための児童会活動を活発化する。」の研究に重点をおいた。
1.自ら考え,工夫するということ。
新しい教育課程は,豊かな人間性をめざし,ゆとりある,しかも充実した学校生活の創造を期待している。「自ら考え,工夫して実践する児童活動」というテーマは,移行期を迎え,新しい教育課程改善の趣旨を生かす観点から充分に話し合った結果から生まれたものである。児童の自発的,自治的な実践活動をより楽しく,充実したものに育てるには,教師自身が,特別活動の本質に目を向け,きめ細かな配慮のもとに指導をすすめることが,なによりも大切であることだと反省し合った。
「自ら考え,工夫する」ということは,単に話し合いがじょうずになったとか,司会の進行がじょうずになったとか,係活動の仕事ができた……等の言動をだけをさしていうのでなく,子どもひとひひとりの創意創造をうながしつつ,実践遂行させる中で味わうことのできるきわめて困難なものである。このことを充分わきまえて指導にあたることが,主題にせまる糸口であろうと考えた。
子どもたちが,具体的な目的や目標の見通しをもって,意欲的に実践活動に努める中に,1.身体的な実践活動のよろこび,2.期待のよろこび,3.創造や発見の喜び,4.協同や連帯のよろこび,5.成就や完遂のよろこび……等が内在,外在しなければならない。そして,各種のよろこびが,児童会,学級会活動への楽しさに転化され,それが基で充実につながるものと考えた。2.読書習慣づくりと児童会活動について
子どもにとって,“本”は,以上のような読書の価値に目ざめさせ,本を読むという体験をかれらに与え,精神生活を豊かにして
子どもが自律的に問題を解決し,せまい興味からひろい世界に関心をもたせ,望ましい社会的感情を育て,自己や他人を理解することで,望ましい人格をつくりあげる力がある。知的な面では,豊かな知識や読むことを学び,一生学習をつづける基礎となるものである。