福島県教育センター所報ふくしま No.44(S54/1979.12) -002/034page

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<学習指導と教材研究>
小・中学校学習指導

社会科における評価と自作テストの作り方

教科教育部  境 野 啓 二

1. はじめに

 本年度の社会講座(小・中学校)に,講義・演習として「社会科における自作テストの作り方」を設けた。本稿はその紹介である。
 なお,この講義・演習は,50年度の「社会科における教材研究のすすめ方」,51年度の「社会科における目標分析のすすめ方」,52年度の「社会科におけるTPの製作と活用」,53年度の「社会科における学習指導案の作成」の講義・演習の発展として取り入れたものであり,それぞれの内容は,既刊の所報に掲載したので併せて御覧いただければ幸いである。

2. 評価とテスト

 指導のないところに評価はなく,評価のないところに指導はないといわれるが,その評価の一部であるテストも同様である。すなわち,テストは指導と切り離すことはできない。
 また,評価は指導の最後であると同時に出発であるといわれるように,テストも指導に先立って綿密に計画されていなければならない。
表1 テストの種類
○ 前提テスト
○ 事前・事後テスト
○ 形成的テスト
○ 総括的テスト
 そのテストの種類は,表1のように分類される。前提テストとは,指導前に行うレディネステストであり,事前・事後テストは,指導の前後に行う指導の効果を判定するテストである。授業研究などに使用される。形成的テストとは,指導の制御のために指導の途中で行うもので,最近もっとも注目されているテストである。総括的テストは,学期または学年の総括として到達度の判定のために指導の後に行うものである。テストを作成する時は,これらのいずれのテストであるか明確にしておかねばならぬ。この分類は,テストの目的によってなされたものであるが,作成者の違いによって,教師自作テストと市販テストに分けられる。

3. 自作テストとその重視される背景

 橋本重治は,その著書「教師自作テストのつくり方方」の中で「教師が自分で工夫して作る問題やテストのことを……,教師自作のテスト(teacher-made test or homemade test)とか教師作成テストと呼んでいる。」と説明している。
 昭和40年代において,テスト主義教育排撃の声が広がり,教師の指導−評価への主体性の確保などから,市販テストに代わって自作テストが重視される傾向が生まれた。
 その後の活発な授業改善への取りくみは,自作テストを必要にして欠くべからざるものにした。すなわち,教育工学的な手法による授業における目標行動の設定とその評価,完全習得学習(mastery learning)における学習目標の明確化と形成的評価など,自作テストを作成し,実施することが必要となる。自作テストは,「その教室での指導目標や生徒たちの実情に密着したテスト問題(であり)」「授業過程における形成的評価(ができ)」「頻(ひん)繁に,より手軽にテストすることができる。」(「新・教育評価法総説」)などといわれている。そこで,自作テストとは,必要に応じ,学習者の実態に即して,教師が作成するテストであると定義づけをし説明をすすめたい。

4. 自作テストの現状

 表2,3は本年度の講座に参加した研修者を対象に,昨年度実施したペーパーテストの作成について調査した結果を表わしたものである。

        表2 テスト作成の現状(小学校 調査対象32人)
    作り方

時期
市販のもの
そのまま
市販より
選択
市販より
選択・修正
市販より
選択・修正
と自作
自 作
期末・学年
末テスト
18人 4人 2人 7人 1人
単元テスト 11 2 6 7 1
毎時のテスト 1 1 7 2 3
30 7 15 16 5


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