福島県教育センター所報ふくしま No.44(S54/1979.12) -003/034page
この調査によると,小学校における自作テストの作成は少なく,期末・学年テストの多くは,市販テストに頼っていることがわかる。また,中学校においては,市販テストや市販されている問題集などから選択したり,修正したり,それに自作したものを加えるテストが多いことがわかる。
表3 テスト作成の現状 (中学校調査対象51人)
作り方
時期市販のもの
そのまま市販より
選択市販より
選択・修正市販より
選択・修正・自作自 作 期末テスト 2人 8人 18人 18人 4人 中間テスト 1 11 17 16 4 単元テスト 19 10 12 7 3 毎時のテスト 7 0 1 4 15 計 29 29 48 45 26
しかし,いずれの研修者も自作テストの効用を認識しており,自作テスト作成への志向性が強い。それを阻んでいる原因は,次の四つに絞られる。 ○ 作成する時間が不足していること。
○ 写真・地図・グラフ等の資料の取り入れが難しいこと。
○ 自作テストの内容に対して自信が持てないこと。
○ テストの作成法がわからないこと。
そこで,これらの問題の解決に役立てばと考え,以下自作テストの作り方を手順を追って説明していきたい。5. 自作テストの作り方
(1)テストすべき内容をつかむ
なんのために,なにをテストするのか明確にしておかねばならない。そのためにテストのねらい(診断テストであるか,形成的テストであるか,あるいは総括的テストであるかなど)を定め,指導目標と指導内容からテストすべき内容をおさえておかなければならない。以上の操作を通して,テストすべき内容をつかむことができるのである。授業にあたっては,これらの「学習語句」を一つ一つチェックし,フィードバックして進めることが大切であるが,単元テストの場合,すべての「学習語句」についてテストすることは,
- 指導目標をおさえる
テストすべき内容は,指導内容と直結する。指導内容は,指導目標と直結している。従って,テストすべき内容をは握するには,まず,指導目標を明確にし,は握しておかねばならない。そのためには,指導目標の分析を行い,目標の関連・系統を明確にする。(所報第27号「目標分析のすすめ方」参照)
つまり,社会科の目標から,学年あるいは分野目標,単元目標,一時限(本時)の目標,さらには下位目標までおさえなければならない。そして,そこには具体化への志向が見られなければならない。具体化への志向とは,目標をより具体的にすることであり,児童・生徒に近づけることである。そのために目標行動に表わしたりする。そこには地域性が見られ,独自性が見られることになる。
- 各指導目標に即した「学習語句」をおさえる
目標の具体化の方法に内容を取り入れる。つまり目標に即した内容をおさえることになる。このために教材の研究をするのはもちろんであるが,まず,教科書から目標に即した内容を洗いだすことである。この内容を端的に表せるように「学習語句」としておさえる。(表4 目標とテストの範囲を参照)教科書の本文だけでなく,図表や写真などからも探し出すのである。まず,下位目標に即した「学習語句」を探し,つづいて,一時限(本時)の目標に即したもの,小単元目標に即したものというように目標分析を行った逆のルートをとった方が容易である。
- 全指導目標と「学習語句」との関連をおさえる
目標とその目標に即した「学習語句」との関連を十分におさえることは,テストの素材となる「学習語句」を的確にとらえることになるので確認しておかねばならぬ。それとともに,その「学習語句」と他の目標の関連をおさえておかねばならない。すなわち,下位目標に即した「学習語句」について,本時,単元,学年目標などとの関連をおさえることである。このことによって,末梢的になりがちな傾向を防止できるし,能力・態度などの従来組み入れることのできなかった内容についても出題の見通しが得られる。