福島県教育センター所報ふくしま No.44(S54/1979.12) -010/034page

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」等の指摘が目立つ。学校教育目標の具現にかかわる到達状況の評価を学校経営評価のねらいとしている学校が多いが(学校経営評価に関する研究,福島県教育センター紀要第36号)<今後の問題点>として数多く指摘されているように,評価の観点や方法に不安材料を含んでいると考えられる。
 「共通理解・意欲」の項目では,「教育目標についての共通理解の不足」が最も多い。これは「自校の学校教育目標をどう受けとめるか」ということもあるが,むしろ,学校教育目標の意義,設定の必要性といった根本の問題点の指摘と考えられる。なぜなら,「学校教育目標についての話し合いの結果,その必要性がはじめてわかった。」等の教師の声が数多く紹介されているからである。
 図2の「共通理解」の項を見ると,<今後の問題点>としてあげた数が大変少なくなっている。.このことから「共通理解がはかられた」と考えられるので,報告書の中の「共通理解」に関する方策をまとめると次のようになる。

アンケート的手法による教師の学校教育目標に関する意識調査を主体とし,本校の学校教育目標の具現状態,問題点,改善策等の意見の収約による話し合いの過程を重視したこと。
 以上,報告書にみる学校教育目標具現化の主な問題点について述べたが,その中の「具体化の問題」「評価の問題」に絞って考察してみる。

2.学校教育目標の具体化

 報告書には,それぞれの学校の実態,条件等から考慮されたさまざまな方策が示されているが,次の図のように二つの型に分類できる。報告書に示された「型」は圧倒的にA型が多いので,以下A型について考えてみたい。

        図3 学校教育目標具体化の型
図3 学校教育目標具体化の型

  • 重点目標としてまとめたもの→具体目標,指標,副目標,努力目標,etc,
  • 重点指導事項としてまとめたもの→指導の場,具体策,指導の重点,実践事項,etc,
  • 経営方針=経営目標
 学校教育目標は,志向目標的性格を持ち,6ヵ年あるいは3ヵ年間という長期間達成を目ざすため抽象的になりがちである。これをそのまま学年目標におろすことをさけ,一般的には重点目標を設定している。この重点目標の内容を見ると二つの考え方にまとめることができる。一つは,学校教育目標の内容を分析して幾つかの項目に分け,各項目ごとに年次で達成の段階をつけ,それを目標にする場合であり,他の一つは,幾つかある学校教育目標の項目の中からその年度の目標として1〜2項目選び,翌年からは残りの項目を順に目標として設定する方法である。更に,重点目標は“子どもの学年的発達段階の順次性とその問題傾向を的確にとらえた”学年目標に具体化され,“担任教師の個性と創造性を生かして学級の子どもに密着する”学級目標に細分化されることになる。ただ,目標を具体的に設定したとしても,それはあくまで目標であって,その目標を達成するための方策が必要になる。「こうなってほしい」と願うだけでは目標は達成されない。この場合の方策は,ことばで教える方法を考えるというのではなく,児童・生徒が活躍し,体験する場を意図的に設定するということである。図3における<3.(丸囲み数字),2.(四角囲み数字),ア.(丸囲み文字)〜カ.(丸囲み文字)>はその例にあたる。
 このような<具体化>を図るための方策を,研究報告書の中からまとめると,およそ次のようになる。
○学校教育目標の全体構造の明確化
学校教育目標と経営目標,教育計画との関係を明示し,日常の実践活動との結びつきを明確にしていること。
○学校教育目標の細分化
学校課題をおさえ,年次重点目標に分析し,学年学級目標との関連を図っていること。
○目標達成のための具体策
目標達成の手段(具体策,指導の機会や場)が明確になっていること。
○児童・生徒の目あて
児童・生徒一人一人の「生活の目あて」を可測的な表現とし,実践意欲を持たせるよう工夫していること。
○組織活動の活発化
「学年会,運営委員会などの組織活動が活発であり,


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