福島県教育センター所報ふくしま No.44(S54/1979.12) -011/034page

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共通理解がはかられ,意欲的になっていること。
○記録の保存
目標設定の根拠,具体化の過程等の記録が保存され,次年度以降の共通理解のための準備がなされていること。

3. 評価の視点

 報告書によると,年度が新しくなるにしたがい,また,具体化→美践と研究が進むにつれて評価を問題とすることが多くなってきている。次の図は,報告書の中の評価に関する記述(評価の観点を設定している論文のみ)に視点をあて,その共通点をまとめ,類型化したものである。

        図4 評価の視点(S.46〜52,N=23)
図4 評価の視点

 A型は最も多く採用されている型であり,一般的な評価の型と言えよう。この方策は,大きく二つに分けることができる。その一つは,教師による到達目標の設定であり,他の一つは,示された重点項目ごとに児童・生徒が自分で到達目標を設定した場合である。なお,後者の場合自己評価となっている。A型の中で,一番多かったものを太線で示した。
 B型は,最も少なかった型ではあるが,学校教育目標の価値内容を三領域に位置づけをしている点で価値があると考える。学校教育目標と日常の授業の関係は割合不明確と思われるので,そのかかわり合いは,ぜひ明確にしたい課題である。本時の学習指導によって,学校教育目標の何を具現していこうとするのかという意識の確立は,子どものパフォーマンスをトータルに評価する意味で特に大切と思うからである。
 A,B型が,学校教育目標の具現状況を子どもの姿,行為としてとらえ,その結果を経営評価に反映させようとするのに対し,C型は,具現化のための計画や方策といった教師の計画や手段に視点をおいた評価である。従って,A,B型の結果がC型に反映されるような評価が必要となる。
 報告書に示された評価に関する方策をまとめるとおよそ次のようになる。

○組織による評価項目の作成
学年,教科部会,運営委員会,学校全体などの組織による評価項目の作成。
○評価観点の明示
目標分析,学校課題等を踏まえた評価観点の設定と行動目標などによる可測的な基準の提示。
○自己評価による意欲づけ
評価カードなど児童・生徒に対する提示の工夫と自己評価等による実践意欲の向上。
○保護者への連絡
通知票の改善,評価カード等による通知方法の工夫。
○評価結果の活用
定期的な評価による目標達成状況の確認とその結果による計画・方策の改善

4. 今後の課題

 児童・生徒の学校生活でいちばん大きな比重を持つものは教科の学習であり,これは,全教育活動の87%に当たる。この授業は,知的教養を高めるだけでなく,教師と子どもが肌と肌とを接し,心と心をぶっつけ合い,人間的成長の機会を持つ最も長い時間である。従って,学校教育目標具現のための最適の場とならなければならない。この意味で,教育課程審議会答申や新学習指導要領の主旨を考慮して設定された学校教育目標の具現化のために,従来研究もされ,強調された「学校⇔学年⇔学級」という系列に,学校教育目標と授業(学校教育目標の価値内容が,学習が終了した時点でどのような成果となるかなど)との関連を今まで以上に図らなければならない。


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