福島県教育センター所報ふくしま No.44(S54/1979.12) -018/034page
−生徒指導〔その3〕−
問題行動とその指導
−中・高生を中心に−経営研究部 原 洋
星 慎 也〔問い 11〕 いわゆる問題行動とは何をいうのでしょうか。
〔答 え〕 性格の偏りが著しく,そのために環境への適応が困雉で,児童・生徒がいろいろな反社会的あるいは非社会的行動をとる場合,その行動を問題行動といいます。
問題行動は,反社会的問題行動と,たとえ他人に迷惑をかけなくとも,自己の心身の健全な発達にとって妨げとなる非社会的問題行動に一応区別出来ます。しかし,この区別はあくまで便宜的なもので,両者はおたがい原因となり結果となってからみあっています。したがって,その心理的メカニズムを明らかにし,真の問題行動は何かをみきわめることが大切になってきます。問題行動の類型もいろんな分けかたがありますが,中・高生を中心に例をあげますと,
○ 反社会的問題行動 − 「盗み,暴力行為,性非行飲酒,喫煙,夜遊び,不良交友,不健全娯楽,怠学,薬物乱用,凶器携帯,けんか,たかり,無断外泊,いたずら,暴走族など。
○ 非社会的問題行動 − 極端な無口,引込み思案,投げやりな生活態度,孤立,登校拒否,家出,自殺の企て,神経症,チェック,言語障害,弱視,難聴など。
があげられます。〔問い 12〕 法律でいう「非行少年」とはどのようなものをいうのでしょうか。
〔答 え〕 少年法その他の法令で,家庭裁判所や少年警察などの保護矯正機関が矯正措置の対象とする行為を「非行」とよんでいます。「少年」とは20歳末滴のものをいい,女子も含みます。
「非行少年」は次の3つに分けられます。
1.犯罪少年 − 14歳以上20歳未満で刑罰法令に定める罪を犯したもの。(ただし,犯罪・非行の統計では,刑法犯のうち,交通関係の業務上過失致死傷は除外しています。)
2.触法少年 − 14歳未満で刑罰法令に触れる行為をしたもの。
3.ぐ犯少年 − 20歳未満で,一定の不良行為があり,性格や環境から考えて将来罪を犯し,または刑罰法令に触れるおそれのあるもの。
「ぐ犯行為」については,少年法に次のように定めています。
イ.保護者の正当な監督に服さない性癖のあること。
ロ.正当の理由なく家庭によりつかないこと。
ハ.犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し,またはいかがわしい場所に出入すること
ニ.自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
以上の「非行」のほかに,非行化の前兆となるような「不良行為」が認められる場合は少年警察の補導の対象となります。また,児童福祉のための措置が必要とみとめられるものを「要保護少年」とよんでいます。なお,刑法では14歳に満たないものは刑罰の対象にはしないことを規定しています。〔問い 13〕 教師がいわゆる「問題児」と接する場合,どんな態度が大切でしょうか。
〔答 え〕 いわゆる「問題児」といい,「問題行動」といっても,絶対的な判断の基準があるわけではなく,それは相対的なものと言えるでしょう。
(1)その生徒の行動の偏りが平均にくらべて著しく偏っていないか。
(2)問題行動の兆候があるだけでなく,それが持続し習慣化されていないか。
(3)いわゆる問題行動がその生徒のパーソナリティに深くかかわっ