福島県教育センター所報ふくしま No.44(S54/1979.12) -020/034page

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教育相談(その3)

登校拒否児への教師の援助活動
−見通しをもって対処するために−

教育相談部  国 井 高 雄

1.はじめに

 各種の研究会等で現場の先生方に会うと「うちの学校に登校拒否児がいるんだが,家にとじこもっていて誰れにも会おうとせず,私たちも,どう指導してよいか手をやいています。」という質問をよく受ける。
 登校拒否は手遅れだとほとんど長期化するので,見通しをもった指導が困難になる。そこで,登校拒否が一般にどんな症状を呈しながら進行し,それに応じて,教師は子僕や親に対してどう働きかけていけばよいのかを具体的に述べ,現場における指導のあり方の参考に供したい。

2.登校拒否児への教師の援助活動

  子 供 の 症 状 教 師 の 援 助 活 動
担任が活動すること 親にやってもらうこと





1.学校の中でふさぎこむ,級友の中へ入っていかない。
2.欠席が出はじめる。
 次の理由でぐずったり欠席したりする。
 ・友人がいじめる。
 ・勉強がわからない。
 ・頭が痛い。
 ・先生が冷たい態度をとる。
1.子供にそれとなく話しかけてみる。(心の動きを読みとる。)
 ・心の触れ合いを通し精神の安定をはかる。
 ・係活動で自信をもたせる。
2.欠席理由の確認をする。
 ・登校拒否チェックリストによりチェックする。長欠児童・生徒類型別チェックリストA欄 6こ以上該当は登校拒否症(所報32号−P.23参照)
 ・学校全体のとりくみ姿勢を協議してもらう
 ・登校拒否徴候の時は,できるだけ信頼されている先生に迎えにいってもらい, 強引に連れてくる。
1.家庭での子供のようすを観察し,担任と連絡をとるようにする。
2. 子供の健康状態をよく観察し,欠席理由をはっきりと学校へ連絡する。
 ・発熱とか重病でないかぎり,強く登校をうながす。(耐性をつけることがねらい。同情は禁物)
 ・学校から迎えに釆たときは, 家庭でも強く押しだす。












1.頭痛・腹痛・気持ち悪い,起きられない,などで欠席が続く。
 ・登校時間がすぎると元気になる。
2.親の態度にとまどいや不安を示すようになる。
 ・「あした学校へ行く」というが翌朝になると起きて釆ない。
3.緊張がとれてくる。
 ・話しかけると応答するようになる。
4.気持ちがおちついてくる。
 ・電話にでるようになる。
5.友人以外にも心を開くようになる。
 ・担任と話ができるようになる。
6.気持ちが安定し,登校しようという気持ち
1.心の緊張を解きほごす働きかけをする。
 ・家庭訪問はさし控える。
 ・本人には気づかれないように,親と連絡をとる。
2.親とたえず連絡をとり,子供の動きを見守る。
 ・夕方や,土曜,日曜になると緊張が一時的にやわらいで来,学校へ行く気持ちがでてくる。しかし翌朝になると緊張感がもとにもどってしまう。このことをよく理解する。
3.親とたえず連絡をとり,冷静に対処する。
 ・親の精神がたえず安定できるように援助し励ましてあげる。
4.左の症状の連絡があったなら,友人を遊ばせにやる(本人が内気な場合,心が暖かで内向的な子供がよい。この時,学校の話はさせない。5〜6回遊びにやる。)
5.家庭訪問をする。
 ・学校の話はやめ,趣味,スポーツなどの話にとどめる。
 ・話に応じない時は,無理に立ち入ることはしない。
6.学級の受け入れ体制をつくる。
 ア.学級では「本人はなぜ学校に来れないの
1.学校や勉強のことを一切口にしない(本人から話しかけてきた場合は応じてよい)。
 ・自分のことは自分でさせる。
 (起床から就寝まですべて)
 ・指示・命令をやめる。
2.子供が「あしたから学校へ行くよ」と言っても,その気になって登校刺激を加えない。
3.本人から話しかけがあったなら気軽に応じてやる(この時,学校のことは口にしない)・学校,勉強以外のことならこちらから話しかけてもよい。
4.本人の気持ちがおちついたなら,すぐ担任へ連絡し,指示を受ける。
 ・友人が釆たら,ただ遊んでもらうだけでよい。
5.先生と十分話ができなくとも本人をせめたりはしない。
6.「一日も早く登校させよう」というあせりの気持ちをもたな


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