福島県教育センター所報ふくしま No.44(S54/1979.12) -023/034page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

<研究報告>昭和53年度 学校経営(B)講座

研究主題:養護教育における新任教師の指導力向上をめざす,現職教育の実践内容

須賀川養護学校教諭  沢 田 卓 二

1. 研究の趣旨

 本校の教育は,寝たきりの病状の子(重症心身障害児を含む)から普通校へ復帰できる状態の病弱児に対応する巾の広いものである。教育の質・量・内容・方法も児童・生徒の個々の状態により異なり,普通校のそれに比べてはるかに複雑多岐であり,それなりに教師の専門性が要求される。
 従って,教育経験の多い先輩教師にとっても「ひとりひとりの要求に応じた指導」は容易ではなく,病弱児教育の永遠の課題といって過言でない。まして,全く経験のない,大学卒業と同時に就任する教師は,その使命の重大さと困難性に直面して悩まされることが多い。
 私自身,小学部教務主任として率先し「病弱児教育永遠の課題」に取組み,同時に後輩の指導に当たらなければならないが力不足であり,「具体的実践研究」の必要を痛感していた。そこで昭和53年度当初より大学を卒業し就任したY教師・T教師の現職教育を兼ね,「病弱児の偶の理解と指導」を中心に実践研究をともに行うことにした。
 本研究では,児童・生徒の個の問題をどうとらえ,それに即して指導計画をたて,どう指導していくか等の実務を実践内容とする現職教育を行い,新任教師と先輩教師の当面する課題の一端をつかみ,病弱教育の今後にわずかでも寄与できればと考え,主題を設定した。

2. 研究の見とおし

 T教師のクラス児童の病状,生育歴,知能性格等諸検査,日常生活行動の記録等を精査して,その結果を有機的に関連事項を見出し個の問題を浮き彫りにして,それに即した計画と望ましい指導の在り方を理論と実践の二面から共に追究していくようにする。その間,具体的事項と問題に即した適切な指導をすることにより,新任の若い教師も自信をもって実務に当たれるようになり,児童も又望ましい向上が期待されると思われる。

3. 研究の方法と対象

(1)研究の内容・方法

  1. 参考文献,図書により病弱教育について認識と理解を深める。
  2. 一応の目安とした指導計画をたてられるように実務の指導を行い,当初の学習指導に対応できるようにする。
  3. 児童・生徒理解のための諸検査の実施や参考記録の活用を図る。
  4. 実務の習熟にともない実際指導の配慮や諸注意などを入れた個別指導の計画案をたてたり,手直しをしたりする。
  5. 特異な問題行動をもつ児童の事例研究をすすめる。
  6. 校内の各種組織や係と提携し,課題の究明につとめる。

(2)研究の対象

  1. 新任Y教師,T教師,及び小学部3年生。

(3)年間研究計画

学期   学部の経営 Y教師,T教師の実務 教務主任(筆者)
I 4 ・年間計画の立案 ○一応の目安としての年間計画の立案と実務の履習 ○校務運営計画の立案
◎指導助言
5 ・諸調査の実施 ○諸検査の実施(検査法の習得)
○病弱教育についての学習
◎参考文献等指導助言
6 ・調査のまとめ (当面の指導観をもつ)
○結果の処理(分析考察の実習)
 
7 ・学期の反省 ○評価(実務を通し一学期の指導の反省をする) ○PFテストのまとめ
◎指導助言
II 8 ・学期の計画 ○児童の実態一覧をまとめる
(指導の個別化の資料)
○喘息児の指導についてレポートをかく
9 ・指導計画の修正 ○同上資料の検討をすすめる ◎観点を指導する
10 ・個人考察
・研究授業
○指導の個別化(計画案の修正)
○Y教師の研究授業
◎事前事後の指導助言
11 ・学級考察 ○教師の変容と児童の変容について考察をすすめる ○本講座の資料をまとめる。
12 ・学期反省 ○自己評価をし自己理解を図る ◎視点を指導助言
III 1 ・学期の計画
・個人の考察
・年度の反省
○年間のまとめ
(この一年の反省をレポートにまとめる)
○指導要録の記入
○主題研究のまとめをする。
(発表)
2
3


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。