福島県教育センター所報ふくしま No.44(S54/1979.12) -024/034page

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4.研究結果と考察

(1)研究計画の実施状況について
        研究計画実施概要一覧
        ※ 評定 上段は筆者 下段はY,T教師
          評点 3…良く行っている。 2…ふつう。 1…わるい。
No. 研 究 内 容 評定 実 施 状 況 の 概 要 等
1 校長の助言指導を受けること 3  経験のない教師の指導力の向上をめざすことは教務主任や先輩教師の責務であり,具体的な事がらをとおしどう対応したらよいかなどを適切に助言指導していただいた。
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2 他職貝の協力,指導や助言を受けること 3  所属する小学部,現職教育の係り,研究部などからも学級経営の実際,その他指導問題全般にわたり.随時,指導や助言を得ることができた。
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3 オリエンテーシヨンの実施について 2  ○病弱教育の概要 ○学校の沿革 ○病種の理解○病弱児の心理 ○学習指導法○養護・訓練など先輩教師を講師として実施する。
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4 指導計画などの立案作成について 2  一応の目安としての年間計画をはじめ指導案等前担任や先輩教師の指導助言を得て立案作成することができた。
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5 諸調査の実施について 2  児童の個の実態を浮彫りにするため次の諸検査が実施された。○知能検査 ○標準学力検査 ○心理性格検査○生育調査 ○生活状況調査 ○医療レポート等
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6 児童の問題行動の取組みについて 3  T教師の学級児童の言動について小学部会で検討し,特にYT児の個人考察を行い日常生活や学習指導等実際的な事がらを研究課題として取組むようになった。
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7 同上の指導計画とその指導の実際について 3  諸調査を分析して指導のねらいや方法を明らかにし,計画的に問題行動に取組んでいる。しかし日常の実際指導ではどうしたらよいのか悩み一向に課題の解決がなされていないとT教師は言う。
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8 授業研究,研究授業の実施について 2  係りや先輩の先輩の教師の計画的な指導助言を受け授業の充実は日増しに向上している。しかし「こんなことでよいのか」という不安もまた同時におき悩みが増すばかりだと述べている。
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9 参考文献などを利用すること 2  多くの先輩から,○教育と医学 ○児童心理○教育技術 その他沢山の専門誌等を奨められたりしてきた。又先輩の研究論文なども利用してきたが教育問題の文学や小説も役立っている。由
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 研究計画の実施状況は上記一覧のとおりであり,結論を述べるには尚早であるが現段階(12月末)で一応まとめたものである。
 実施状況の評定は特に評価項目を設けず,各自の考えで三段階の評定を行った。したがって評価項目の違いにより評定が異ってくるのは当然のことである。それで,後日に話し合いにより一つ一つを確めた。詳しくは避けるが,ほぼ実施状況の概要に記したとおりである。
 その中で,No.1〜No.5までは与えられた仕事の遂行をもとに評定したもので,ほぼ意見が一致した。
 しかし,No.6〜No.9までは筆者とY,T両教師のそれは大きく異ってくる。筆者は外見上のものをもとに評定し,Y,T両教師は担任としての資質を自己の内面的な面から評定している。この点について,更に話し合いの中で質問し,概略次の様なことを知ることができた。

(2)質問による研修事項の調査結果について

1. 4月にオリエンテーションを行ったが,どんなことが役立っていますか。

 役立っていると思います。それは病弱児教育の意義がわかり,使命感のようなものが感じられたからです。ただ,その時に話された「心理適応」という言葉は非常に重要であることが印象づけられたが,それだけに今もなおその事が心に重くのしかかり,負担となって動きがとれない状態とも言えます。

2. 先輩がいろいろ指導してくれていますが,どんなことが一番役立っていますか。

 いろいろ教えていただき感謝しています。特に教材を一緒に分析したり,授業の要点などを教えていただいたことなど沢山あります。その中で「子どもの行動の先を読んだ(予測した)指導」という言葉が心に強く残っています。
 また,率直に指導の至らない点を指摘くださった時など自分なりに反省し努力できましたので,大変に役立っています。
 ただ,直接子どもが叱責や注意を受けることもしばしばありましたが,その都度自分の指導の至らぬためと子どもに申し訳けなく心が暗くなり,不安になりました。

3. いろいろ子どもの調査をしましたが指導に役立っていますか。

 正直に言って「役立てなければ」と思うことで精一ばいで,役立っているとは言えません。
 いろいろ問題がつかめていいとは思うのですが,それに対応できない自分を思い知らされるのです。
 例えば,喘息の子の指導で「不安が発作の原因になる」とわかってきたため逆に「不安を増してはいまいか」と心配になり自信が持てなくもなってきています。原因がわかっても今はどうしようもないのが残念です。力不足を感じています。


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