福島県教育センター所報ふくしま No.45(S55/1980.2) -005/034page

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中学校学習指導

授業におけるテレビカメラの効果的な利用法

 経営研究部  加 藤 邦 明

 文部省は、54年度を初年度とする新しい教材整備10か年計画を定め、新指導要領に基づく「標準的に必要とされる教材」の基準を示した。これによると教育機器の種別や数量が大幅に増加され、「未録画テープ」を含むなど、ソフトウェアの開発及び活用にも配慮され、学校の実状に応じた利用が促進されるように、弾力性のあるものとなってきている。
 70年代後半より、OHPの普及は急激に増え、今や教室1台の時代を迎えるに至り、日常の教育活動に定着しはじめている。そして、その後を追うように、テレビ等の電子映像機器が導入されつつある。
 しかし、VTRの普及状況は、テレビが90%を越えるのに比べ、小学校31.3%、中学校が45.1%と低く、テレビカメラにあっては、それぞれ、19.4%22.4%と極めて普及率が低い。 (所報39号)
これは、決して、その必要性を認めていないわけではなく、財政面の貧困さにあったためで、今回の教材整備基準により、導入の法的根拠とその財源が保証されたわけである。このような実状にかんがみ、今後更に普及するであろうテレビカメラの特性や機能と、その有効な利用のあり方について記したい。

1、テレビカメラの機能と特性

 映画やスライドの映写機はかなりの普及率を示しているが、教科指導での利用となると必ずしも満足すべき状態ではない。それに引き替え、OHPの普及とTPの開発には目ざましいものがある。ただ、その便利さのために、すべての機能を持たせようとする傾向がなきにしも非ずで、これまで普及してきた映像機器の代替として利用されていることもありその活用にあたっては、反省すべき事柄も生じている。殊に写真資料にあっては、これまでスライドによって暗室で提示されていたものをTP化するなどの工夫が見られるが、どうしてもOHPは明るい室内での投影になるため、写真の生命である中間調が明瞭に再現されないうらみがある。やはり、OHPではコントラストの強いものに限りたい。
 また、実物の投影にあっては、素材に制約があり、立体の映像化には難点も多いので、その限界をよくわきまえて利用したいものである。
 それらの欠点を補うものの一つにテレビカメラの利用がある。これは、1. 暗室化する必要がないこと、2. 機器の操作が比較的簡単なこと。3. 映像面への指示がしやすいことなどの利点があり、更に、ソフトウェアが特定のサイズ、色、形、材質などの制約を受けず、また特別な処理を必要とせずに即刻映像化できる長所がある。装置も図―1のように簡単で、学習過程の中での利用途も広い。

図-1 テレビカメラで直ちに映像化

 カメラの操作により、適切なアングルやサイズを定めることによって、操作者の意図を伝えることができるし、相手の反応を察知しながら提示できるなど、子どもの実態に即した挙習の展開ができる。また、映写機とスクリーンのような位置関係はなく、コード1本で白由に提示箇所が移動できることなどの特微を持ち合わせており、今後の普及と活用が期待できる機器である。しかも、最近は特別な照明を使用せずに美しい映像が得られ、価格も13万円台のカラーカメラが出現するなど、その性能・価格共に容易に導入できるようになってきた。これで、OHPとテレビカメラのそれぞれの長短を補い合いながら、その特性を生かしたマルチメディア的な活用が一般化できる条件が整ってきたといえる。

2、テレビカメラの利用法

 テレビカメラと言えば、直ちにVTR教材の製作あるいは、学校行事の録画再生、自主番組の制作と全校放送・・・・など、スタジオカメラやポータブルビデオなどを想像しがちであり、VTRの付属品と見られがちであるが、ここでは、教科等の指導場面における「生映像」の利用を中心に述べていきたい。


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