福島県教育センター所報ふくしま No.45(S55/1980.2) -011/034page

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−教育相談(その4)−

登校拒否児のタイプ別にみる症状とその指導

−小・中学生を対象に−

 教科相談部  佐 藤 弘 幸

1、はじめに

 登校拒否は、個々の事例の形成要因を追求するといくつかのタイプにわけられ、その症状にもちがいがみられる。
 特に、学校で指導上間題になる登校拒否のタイプを大別すると、心理的な理由によるものと、怠学傾向によるものの二つに分類される。
 指導にあたっては、それぞれの形成要因となる点について、たしかな見極めを持ち、その症状に応じた指導の手をほどこすことが重要となる。
 本稿では、最も指導に手こずる心理的な理由による登校拒否を中心として、早期発見と指導のために、タイプ別にみる症状とその指導のポイントについて記してみたい。

2、タイプ別にみる症状とその指導

 心理的な理由による登校拒否児のタイプとしては母子分離不安型、甘やかし型、優等生の息ぎれ型の三つにわけられる。

タイプ

形成要因

症状

指導のポイント

母子分離不安型(小学校低学年の子供に多く見られる)



























































○子供もの方に母親の方にも
両方に離れることに不安がある
場合がある。

○母親から保証されている基本
的欲求(安全・依存愛情をみたす
こと等)がおびやかされるのでは
ないかと不安をいだいて学校に
行くことを拒否し、安全な家庭に
逃避するために生じたものである。




















































○母親から離れるこどが不安で、登校しようとしない。

○無理に起こそうとすると母親にしがみつく。

○朝起こした時着るものがないなどと言っていじける。

○登校時に頭痛・下痢・吐気などの心気症状を訴えて欠席する。

○登校拒否の理由として次のようなことを言い欠席する。

・友だちがいじめる。

・友だちにからかわれる。

・行く途中にいじめっ子がいる。

・給食が食べられない。

・先生がこわい。

























 

1.母子分離不安の原因が、どこにあるかを明らかにし、母子関係の改善をはかる。

○母親が神経質で、子供を離すことに不安が強く、心理的に母子が一体となっている場合。

 ・無理に離さないように指導する。心が離れていないので、かえって症状を悪化させる。

 ・母親が子供に没頭しなければならない状況におかれている様子をよく理解してあげる。

 ・母親への話し合いを通して、親が子供から離れなければ、子供が自立できないことを気づかせる。

○拒否的な母親のため、子供が母親を困らせ関心や愛情をつなぎとめるようとしている場合。

 ・一緒にねる、頭をなでるなどしながら母親が近づいてかわいがり、子供の精神を安定させる。

 ・子どもに規律ある生活ができるように指導する。

 ・精神が安定し、素直になった時を見つけ母親が子供を押し出すように指導する。

2.段階的に母親が子どもから離れることができるようにする。

 ・初めは母親が一緒に登校し、授業終了まで校内で待つ。

 ・次に母親が午前中校内で待つ。

 ・二校時まで校内で待つ。

 ・校門までおくる。

 ・途中までおくる。

 ・一人で登校できるようにさせる。

甘やかし型

(小学校中・高学年から中学生に多く見られる)














○自己中心的で、情緒的、社会的に
未成熟なタイプである。 

 幼少の頃から過保護,溺愛的に育て
られ、つらいことに耐えられず、わがま
まなところが多い。したがって困難なことは、親に依存してしまい、自分で考え自分で努力してやりぬく力










○断続的に登校する。 

 ・登校した日は、普通の子と同じように勉強できる。

 ・運動会や遠足などの授業のない日は、普通に登校できる。

○頭痛,腹痛,吐気などの心気症状を訴えて欠席する。

 ・体の具合が悪いと病院へ行きたがる。

[小学生の場合]

1.過保護で過干渉な親の態度を改善するため親が子供のしつけに強い態度で望めるように指導する。

 ・指示・命令をなくし、自分のことは自分でできるようにさせる。

 ・母親まかせの養育態度を改め、父親との接触をはかり、父親のぞんざいの重要さを痛感させる。

 


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