福島県教育センター所報ふくしま No.45(S55/1980.2) -012/034page
が育っていない。更に自尊心も高く、自分の興味、関心ある ものだけに目を注ぎ、友人と協 調して遊ぶようなことはしない。 学校は自分だけが自由になる ところでないので、集団帰属が できず、安住の場である家庭 に逃避してしまい生じたものである。
○しかると筋肉の硬直が生じて動けなくなることがある。
○学校のある日は家にひっこんでいる。
・親に反抗し言うことをきかない。
・テレビマンガ等でぶらぶらと無為に過ごす。
○休みの日は、家から出て行って遊ぶ。
・友人が遊びに来るときげんがよい。
・両親の教育方針のちがいを正し、しつけの一貫性が保てるように援助する。
・本人の家庭での役割分担を明らかにし、責任ある行動がとれるようにする。
2.学校生活を魅力あるものにし、居心地よくするように取りはからう。
・趣味やスポーツの話をし、本人の活動を認めてやる。
[中学生の場合]
1.本人の自立心をのばすように援助し、自我の成長をうながす。
・必要以上に親が世話をやいたり、援助することをしないように指導する。
ここから先は口出しをしないという境界線をはっきりもち、それ以上は,本人の自主性と判断にまかせる。
・子供にあえて危機的状態をつくって自覚をうながす。(親戚に泊まりに行かせる。家の用事をたのむ等)
2.随時家庭訪問をし、雑談などをしながら本人との関係が深まるようにする。
3.休日に友人を訪問させ、親から離し専門機関の治療を受けさせる。
優等生の息ぎれ型
(中学生に多く見られ、発症が急性である。)○母親の過保護と生活支配によって、生活経験が乏しく 自我の発達が阻害されている場合である。登校を拒否する前は「よい子」 として育っている。自分のもて る能力をこえて周囲から期待 かけられ、本人も初めは、その期待にこたえようとして全 力を尽くし優等生として育つ。ある時、ほんのささやかな契 機でつまづき、期待と自分の実力との間に大きな差があ ることに期づき、動きがとれなくなり、家の中に逃避したために生じたものである。
○発症が比較的急性で、初めは,断続適な休み方をする。 ○短期間に症状がすすむと、連続的に欠席する。
○登校拒否の理由として、次のようなことを言い欠席する。
・成績がふるわない。
・先生にしかられた。
・対人関係がうまくいかない。
○欠席している時の状態
・自室にとじこもり、出てこない。
・家族とも口を聞かない。
・人との接触をさけ、まったく外に出ない。
・起床、食事、入浴、散髪などの生活習慣が乱れる。
・昼と夜が逆転した生活になりやすい。
・家族が学校のことをふれると荒れる。
・先生や友人の訪問にも会おうとしない。
1.登校刺激をさけ、情緒の安定を図り、心理的緊張の解消に努める。 ・友だちを迎えにやることをさける。
・家庭訪問もひかえる。
2.担任と話し合える場合は、本人の話を聞いてやり、気持ちを理解してあげる。
3.周囲でだまって時間を与え、自己決定を尊重し、思い切って、本人の意思にまかせる。
4.規律ある生活ができるように、自我の発達を援助する。
5.気がすむまで静養し、心理的な緊張が解けたならば、自分で立ち直りができるように援助する。
3、おわりに登校拒否は、いずれのタイプのものであっても、子供の性格や情緒の安定度、家庭の養育態度に関運が深い。一方、登校拒否の誘因や登校するようになったきっかけには、学校側に関係することも多く見られる。指導や援助にあたっては、子供と教師との人間的な触れ合いを軸として、子供自身の内面に潜む悩みや問題を受け止め、家庭との連絡を密にしながら対処していくことが犬事である。したがって、学級担任による普段の子供理解が、きわめて大事な意義をもつと言えよう。