福島県教育センター所報ふくしま No.45(S55/1980.2) -022/034page
( 研究実践校紹介 )
非社会的傾向にある生徒の指導 − 早期発見とその指導 − 福島県立福島高等学校
はじめに
昭和52・53年度福島県教育委員会指定生徒指導研究推進校として、標記の研究主題のもとに2年間にわたり研究をすすめた。研究の経過や概要は、昭和53年10月30日、福島高校において詳しく報告されている。主題の設定にあたっては、当面する本校の生徒指導上の問題点の中から、各学年とも共通の問題としてかかえてる 「精神的に不適当の生徒、特にノイローゼ傾向、非社会的傾向にある生徒の実態把握とその指導法」 をテーマとして選び研究することにした。ちなみに、本校の登校拒否(不登校)の生徒の状況は、昭和47年5件、48年4件、49年6件、50年6件、51年9件、52年12件に見られるように年々増加の傾向にある。これら顕在化した生徒は氷山の一角に過ぎず、底辺に埋もれている学校嫌いの生徒は数多くあると考えねばならない。これらの傾向にある生徒の早期発見と早期指導は、まさに取組まなければならない重要な課題であり遅きに過ぎたきらいさえあった。
1、研究のすすめ方
すべての生徒が問題行動の要因をもつていると考え、学校教育の全領域から問題行動の予防の在り方を考えるべく、次の4つの方針を柱とした。
(1) すべての生徒の基礎資料の収集と分析
全生徒について悩みの調査、YG性格検査、家庭環境調査、意識の調査等、を実施し、全体傾向を分析するとともに、一人ひとりを生徒指導カードに記入し、活用しやすいものとして整備する。
(2) 教育相談活動の充実
テーマに対する最も有効なアプローチとして、教育相談活動があると考え、教育相談のための校内体制を整え、かつ研修会等を重ねて教育相談の技術の向上をはかる。同時に生徒に積極的に働きかける。
(3) 事例の収集と分析
本校における非社会的傾向(特に登校拒否を中心としたもの)の事例集録をつくり、それらの臨床的考察を土台として割列研究会を持ち、指導の手がかりを得る。
(4) 家庭や関係諸機関との連絡を密にする。
問題行動の要因の一つは、生徒の物心両面が大きく依存している家庭にあるものと考え、家庭との連絡を一層密にする。また、県精神衛生センター、県教育センター相談部、専門医等と連携して、問題行動に適切に対処できる体勢づくりをする。
2、研究をすすめるための組織づくり
3、生徒に対する諸調査について
(1) 調査の目的
本校生徒全体の生活状況、性格の傾向、価値意識、生活意識、悩み等の実態を正しく把握するために調査を行う。
(2) 調査資料の作成
ア 「生活状況調査」
「日々の生活についてのアンケート」というタイトルで、「家庭環境」、「部活動状況」、「健康状況」、「進路に対する考え」の4領域からなる調査表を作成した。
イ 「悩みの調査」
つぎのものを参考に、本校独自の調査表を作成した。
(ア)「脳みの調査」生活指導協議会作成
(イ)「高校生の意識調査」都立志村高等学校 木村正雄教諭作成
(ウ)「現代高校生の価値感」県高等学校 社会科研究会編
(エ)「青年の意識調査」NHK放送世論調査研究所編
ウ 「性格検査」
検査結果の妥当性、利用度、扱い易さ等を考慮、日本心理テスト研究所「YG性格検査」で調査することにした。
工 「意識の調査」
親(父母)の意識調査をなんらかの形で実施することが2年次の課題であった、そこで生徒の意識調査を通して親(父母)の意識を間接的に探ることにし、つぎのものを参考に本校独自の