福島県教育センター所報ふくしま No.45(S55/1980.2) -023/034page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

調査表を作成した。
 (ア)「親子関係診断テスト」田中教育研究所
 (イ)「高校生の意識に関する調査」早稲田大学高等学院研究グループ
 (ウ)高校生の意識調査」NHK放送世論調査研究会
 (エ)「高校生の意識調査」志村高等学校木村正雄教諭作成

(3) 調査結果と分析 (一部頁数の関係で抜粋して紹介する。)
ア、Y・G性格検査の調査結果
 (ア)本校生の類型別の発現状況
     (数字は%、被検者1,414名)

Y・G性格検査の調査結果

 日本心理テスト研究所作制「YG性格検査」では性格を5つの類型にわけ、それぞれの類型につぎのような性格の特性をあげている。(A,C,Dは省略)
B類・・・情緒不安定、社会的不適応、活動的、外向的な人でパーソナリティの不均衡が外へあらわれやすく、このため反社会的行動に出やすく、環境の不遇や知能が低いと非行に向かいやすいタイプである。
E類・・・D類と反対で情緒不安定、非活動的、社会的不適応、内向的性格で性格の悪い面が内向するタイプである。またノイローゼ型ともいわれ、Emotionalな問題を持っているタイプ、変り者Eccentric Typeである。この傾向が悪化すると無気力、受動的で、たえず何かに悩まされており、自己の弱さのためにノイローゼや問題行動を生じるといわれる。

イ、考 察
 非社会的傾向にある生徒の性格と関係の深いと考えられるB類型、及びE類型の生徒の持つ悩みや意識との関係が調査係によって調査され、次のような考察がまとめられている。
 すなはち、B型、E型の性格特性を構成する因子には・抑うつ性、回帰的傾向、劣等感、神経質、客観性の欠如、非協調性、愛想がない、攻撃性、思想的内向・社会的内向等があげられているが、上述の調査の内容はこれらの困子に直接、間接に関係が深く、生徒の意識反応は身体、性格、生活態度、自我意識に集中的にあらわれており、意志薄弱、劣等感、情緒不安定、神経過敏症、弧立感といった性格的な特徴がはっきり読みとれる。つまり、YG性格検査の結果と悩みの調査のこれらの項目の有意性は明らかで、悩みの調査項目からB型、E型の発見に一つの手がかりを与える重要な資料となるといえる。(資料は省略した)
 人間の成長過程で、性格形成面に与える家族関係や人間関係の影響は大きいものがある。特に高校時代のように身体的にも不安定要素を多く抱えた時期はなおさらである。
 このような観点に立ち、YG性格検査の結果から、B型(不安定不適応積極型)、E型(不安定不適応消極型)の生徒を抽出し、名人の意識調査の解答項目を検討し、他の一般生徒と比較してみた。
 その結果、家庭での話し合い、家庭での相互理解、親子の愛の交流、現在の生活における生きがいや満足感に関するものに目立った反応をしていることがわかった。
 検討するにあたり、理論的な予測や仮説をたてたわけではなかったが、結果を出してみると、やはり相関関係ありという感を強くした。
結論的に述べるなら、B型、E型の生徒は、意識調査の家族関係の項目でも明らかに多くの間題を含んでいることを示している。
 この結果によると、我々教師は正しき生徒理解のために従来の勘や表面的な現象のみによる生徒理解'でなく、個人面談や家庭訪問を通じ、あらかじめ家庭や家族関係の基礎資料をととのえ、加えて諸調査を検討し、総合的な観点から的確な資料のもとに家庭、生徒、教師の有機的連携の上に立つ相互理解と共通理解の必要性を示していると考えられる。

4、教育相談と事例研究について

 教育相談係からは次のような報告と教師の悩みがのべられている。
(1) 本校教育相談活動の特徴
  本校では各学年が中心となって、ホームルーム担任を主体とした面接相談活動がなされている。52年から、研究推進委員会をつくり、その中に相談係を作って相談活動をより組織的なものとした。
 そのねらいは、本校教育相談活動をより活発ににすることと、本研究の主題に迫るための相談的態度の質的向上をめざすものにあった。

(2) 相談活動の現況
 ア 本校で行なわれている相談の種類
 (ア)ホームルーム担任による定期呼出し相談教育相談(面接)は各学年とも次のような年間計画でなされている。1年生3回2年生3〜4回3


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。