福島県教育センター所報ふくしま No.45(S55/1980.2) -024/034page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

年生4〜5回(うち1回は生徒・父兄・教師の三者による)
(イ) ホームルーム担任、教科担任、クラブ担任その他による不定期の呼出し相談
(ウ) 生徒の自発来談(委託相談を含む)(新設)
(エ) 家庭訪問による相談
(オ) 相談係による個別または集団の教育相談
(カ) 養護教諭による相談(新設)
(キ) その他の相談

イ 教育相談の年間計画(昭和53年度分)
 相談係によって月別の相談事項を決め、クラス担任を通じて、また廊下に掲示して、生徒への徹底をはかった。(新しい試み)
1・2・3月 将来の設計に関すること(進路・進学など)
4・5月 学校生活に関すること(家庭学習・部活動など)
6・7・8・月 家庭生活に関すること(家庭・父兄・行動など)
9・10月 人生に関すること(性格・精神・異常など)
11月・12月 身体に関すること(体格・健康・精神など)


ウ 委託相談の実施
(ア) 委託相談の方法
 52年よりはじめられた方式であるが、相談カードに所定の事項を記入して担任に提出するか、廊下にある力一ドボックスに投函して相談の委託をする。

工 相談状況についての分析
 相談内容の中で多いのは、勉強のことと、将来の進路のことであるのは進学校である本校としては当然のことと考えられる。日ごろの学校生活の中でもっとも関心の高いものに来談内容が集中している。部活動と勉学との関係で悩む生徒もかなり見られるが、身体上や性格的なことで心配している生徒も見逃がせない。その他の相談内容は全く少なく自発来談の性格を浮き彫りにしている。

相談内容 52年9〜3月

相談内容 53年7〜9月

(3) 生徒の悩みと相談状況
 悩みの調査の実態は学業上の悩みが69%、将釆とか進路についての悩みが44%、性格や身体上の悩みが32%の順になっている。これらを生徒の自発来談の状況と比較してみるとおおむね比例している。しかし悩みを持つ生徒に比較して相談のケースは極めて少ない。悩みの性格上教師との相談によって全て解決するとは限らないが、生徒の悩みの中に気軽に相談できる先生がいない悩み29%、先生と話し合いたくても話せない悩み24%、親身になって相談に応じてくれる先生がいない悩み18%、など、相談したくても相談できぬ生徒がかなりの割合を占めていることに注目したい。相談カードによる委託相談方式などこれらの生徒に窓口を開いたが現在のところ活用している生徒は少ない。
 教育相談は生徒の悩みを引き出すことにあるが、引き出すための方策は一体何だろうか。教育相談の方式や手続の問題を再検討するとともに、相談できる教師となるための研究や働きかけ、共感的理解が得られるような相談者としての態度の研究、それらが今後の重要な課題となることを示していると考えられる。

(4) 事例研究集録について
 ここに事例研究係の集録した第2集「 非社会的傾向にある生徒の指導 」−(登校拒否の生徒とのかかわりの中から)−の 序文 目次 を紹介する。

序 文
 集録された15の事例は、いずれも本校22名の教帥によって提出されたケース・レポートである。事例は主として登校拒否の生徒を中心に扱っているが・それぞれの事例の臨床的考察を土台として、非社会的傾向にある生徒の指導の手がかりをづかむことと、教育相談の際の相談的態度のあり方を模索するために集録されたものである。45頁にわたるこの集録は、一時的にせよバランスを崩した生徒達の痛ましい記録であり、またこれらの生徒とかかわりを持った教師たちの、いわば失敗や成功の、後悔や安堵の記録でもある。生徒のプライバシーに深く触れたという重苦しい気持を持ちつつも、よりよい「事例研究」のために、いいかえれば、不適応を示す問題生徒ひとり一人のために有効な素材となればよいといえ信念がすべての事例に貫かれていると思われる。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。