福島県教育センター所報ふくしま No.46(S55/1980.6) -006/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

英語科における「週 3 時間」への対応策について

 教科教育部   北原 俊二

1 はじめに

 昭和56年度からの新教育課程の全面実施をひかえて,今年度は移行期の最後の年にあたる。現在,新学習指導要領へのスムーズな橋渡しのために,さまざまな手立てが移行措置の名の下に考えられ,実施されている。一方,56年度からは授業時数が週3時間になるので,英語の先生方の間には,「4時間でも足りないくらいなのに」とか,「週3時間になったらどうなるだろう」というような声が聞かれる。これらは時間数だけの間題でなく,その時間をどんなふうに使うかの問題が大切である。
 「週3時間」になった時,新学習指導要領で示された目標の趣旨を生かしながら,現在と同じ程度に指導の効果を上げるためには,英語指導にどう取り組んだら良いであろうか。以下,「週3時間」を指向して,指導上これまで以上に留意しなければならない点を見直していきたい。


2 英語に接する時間を多くすること

 まず大原則は,週3時間を必ず確保することであり,その上で1単位時間の指導内容や指導方法を検討してみる必要がある。また,教師自身が生徒の前で,できるだけ多く英語を使うことが大切になってくる。このことは,英語を「むずかしい教科の1つ」として感じとらせるのでなく,本来の言葉の学習のねらいであるMeans of communicationとして,もっと日常的な感覚でとらえさせ,communicationの喜びを味わわせるためにも,きわめて重要な役割を果たすことになる。そのために次のようなことに心がけたらどうであろう。

(1) 簡単なあいさつ,日常一般的な会話,生徒への指示や激励など,いわゆるClassroom Englishを駆使すること。
(2) 本文の内容理解については,日本語に訳すという作業をさせずに,Q and A ,T or F, paraphraseなどを通して,内容を理解する習慣を身につけさせていきたい。
(3) 授業は,教科書をできる限り見ないで進めるようにしたい。そのためには,教科書の英語はすっかり頭の中に収められていなければならないので,かなりの努力を要するが,そうすることにより,教師の口頭表現力が増し,生徒の英語に接する時間が多くなる。更に加えて,教科書を見る必要がないので,一時間ずっと生徒の方を見て,ひとりひとりの反応や表情に留意しながら進められる。言い換えれば,教師や教科書中心の授業でなく生徒中心の授業ができることになる。
(4) 自分の1時間の授業をテープレコーダーに録音して,それを聞き直しながら,改善すべき点を発見する。特にここでは,生徒に多く英語を聞かせるという観点から,自分の授業の反省をすることになる。多くの場合,日本語による指示が多く,説明がくどかったり,不必要なくり返しがあるものである。


3 新教材の導入を能率的かつ的確に行うこと

 1単位時間の指導を充実し,言語活動に使われる時間を多く取るためには,まず導入の段階に工夫が欲しい。ともすると,復習と新教材の導入に時間がかかり過ぎて,それに続く活動が急ぎ足になってしまう傾向がないだろうか。
 このような傾向を防ぐためには,教材研究を十分行い,教材を構造化し,能率よく,かつ的確に提示しなければならない。ここで根本的に大切なことは,生徒にとって,「わかる」導入でなければならない。時間の節約がなされれば,それで良いということでは決してない。「わかる」喜びが体得できて初めて,さらに学習しようとする意欲が高まるのである。提示する際には,Picture Chartや,O.H.Pなどを活用し,生徒の理解や記憶を確実にしたい。
 指導過程の中に,教育機器を導入することは,授業の流れにアクセントをつけ,生徒の興味,関心を引きつけ集中力を養う点でも大きな意味をもつ。特に誰でも手軽に使えるO.H.Pについては,その特徴を生かすなら,言語活動の面でも果たす役割は大き


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。