福島県教育センター所報ふくしま No.46(S55/1980.6) -007/038page
い。したがって,今後さらにTP化する内容,効果的な提示技法,指導過程への位置づけなどについて研究を深めていきたい。
4 効果的な反復練習
週3時間になれば,4時間の場合と比べて間があくことは明らかであり,その結果,生徒は学習したことを忘却することも多くなり,このことが学習意欲の減退につながる恐れがある。そこで,現在よりもいっそう効果的な反復練習が大切になってこよう。このことは,新学習指導要領の「指導計画の作成と各学年にわたる内容の取扱い」にも述べられている。
たとえば,第1学年で扱われる月名や曜日名を,一度にまとめて覚えさせることは,多くの生徒に負担がかかりすぎる。したがって,一度に覚えさせるよりは,毎時間,曜日とか日付についての問答をくり返しながら,定着させていく。このように,軽く扱って回数を多くするような指導計画を立て,効果的な反復練習がなされるようにしたい。
5 Target Sentennc 扱い方への工夫
現行の教科書では,1つのLessonをいくつかに分けて,1時間で扱う量を区分しており,多くの場合,区分された中( 1section )にTarget Sentence(新出の文型や文法事項)が1つ含まれている。このTarget Sentenceは確かに新出事項であり,重要な事項には違いないが,これは主として学習指導要領で示されている文型・文法事項を学年毎に配列したものであり,決して同等の重味をもつものではない。また,重要であってもすべての生徒にとって理解しにくい事項ばかりでもない。
このように考えると,Target Sentenceを導入したり,練習したりする場合,同一の時間をかけて同一の量を行わなければならないということではなく,当然扱い方に工夫がなされるべきである。たとえば,1年で扱う命令文,2年で扱う否定の命令文やMayI〜? などは,日常のClassroom Englishで十分であろう。また,2年で扱うbe going to〜とwillはどちらかをていねいに扱えば,一方は軽く指導することもできる。
次に,1つの文法事項を数時間にわたって指導する場合(たとえば,受動態や現在完了形),それらの事項に関するTarget Sentenceを何時間かにまとめて指導するなどの工夫も考えられる。そうすることにより,Target Sentenceの理解が容易になったり, Boay Sentencesを中心として,「読むこと」に重点を置いた授業が可能になってくる。
6 「わかる」「使える授業」への工夫
生徒にとって,自分にも「英語がわかる」「英語が話せる」というのは大きな喜びである。このような満足感を味わうことができる時,英語が好きな科目になり,意欲的に学習するようになるのである。したがって,授業は何よりも,「わかる」「使える」授業でありたい。
(1) 1時間の授業で指導する事項を整理し,重点化する。あれもこれもと欲ばって,教え過ぎてしまわないようにしたり,中学生には必要と思われないことまで説明しないことが大切である。
(2) 基礎的・基本的事項を身につけさせることに力を注ぐ。説明は最小限必要なことだけにとどめ,あとは練習する時間を十分とれるようにする。
(3) 伝達のドリル ( Communicative Dril1s ) を重視する。練習は,いわゆる機械的ドリル( Mecanical Drms にとどまらず,実際に生徒がある文型を習ったら,その文型を使って自分のことや自分の身近なことについて,実際に表現できるようにさせたい。つまり,Commnication活動が望ましい。
生徒の使用する文型や語いが,直接に教師,教科書,テープ等から与えられて行う機械的ドリルには,大きな盲点がある。与えられた練習は,本物の自分のことばにはならない。少しくらい間違えてもよいから,自分の言葉として使ってみたくなるような学習をさせることが犬切である。ふだんの授業の中で,学習したことを応用して使ってみることのできる時間を設けて練習させるようにしていくと,多くの生徒は喜んで自分の文を使おうとする。
たとえば,like〜ingの文を学習させたいとする。黒板に,I like playing tennis.と書き,数回言って聞かせた後,生徒にもrepeatさせる。そして,like〜ingを説明してノートを取らせれば,指導の大半が終わったとすれば,それは教師の自己満足に過ぎず,生徒の英語の力はっかないことは明らかである。
like〜ingを使って,「〜するのが好き」という表現を教えたから,あとは生徒ひとりひとりに,それ