福島県教育センター所報ふくしま No.46(S55/1980.6) -008/038page

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ぞれ自分の好きなことを言わせることが必要である。そして,その練習にも友だちのことを言ってから自分のことを加えたり,相手のことについて質問するなど変化を持たせたい。また,like〜ingという表現の入ったStoryやDialogueなどを聞かせ,HearingReadingの力を養成していく。この場合,自分の学校で使用している以外の教科書が手軽に使える。

(4)「自己表現ノート」を持たせる。自分のことや自分の身近なことについて,書いたり,発表するためのノートで,1つの文型や文法事項などを学習したら,それを使って上記のことについて書かせるのである。これは,1年のLesson5あたりから利用できよう。ノート1ぺ一ジをOne Sectionにあてて書かせ,時には,「自己紹介」「自分の家族」「 自分の友達」「自分の持物」などというような題で発表会を開く。あるいは,1時間に5〜6人ずつ発表させ,他の生徒から質問を受けさせる。このような活動が,「使える」授業への1つの工夫として考えられる。


7 楽しい言語活動

 今までの英語の授業は,ややもすると,英文や語の分析的な理解や,部分的な練習に終始し,生徒ひとりひとりが楽しく表現する活動,言い換えれば,生徒ひとりひとりを授業の中心にすえて生かす活動が足りなかったように思える。このことが,いわゆる「言語活動」が要求される一因にもなった。
 言語活動を活発にすることは,生徒の言語の運用能力を高めると共に,英語を学ぶ楽しさを味わわせる上でも,きわめて重要である。「言語活動とは何か」については,今さら述べるまでもないが,角度を変えれば次のようにも考えられる。

○ 基本的なことを習得した後に応用できること。
○ 実際に言語が使われる場面,またはそれに近い場面で学習させること。
○ 今までよりもっと大胆に教師も生徒も恥ずかしがらずに英語を使い,また発表をすること。
○ 教室の学習から,日本語に訳すという作業をできるだけ少なくするということ。

 それでは,言語活動を楽しく,また積極的に行わせるには,どのような配慮が心要か述べてみたい。

(1) まず,教室の雰囲気が明るくリラックスしていて,生徒が自分で進んで発表しやすいものになっていること。また,教師の表情が拾だやかで親しみやすく,心の広さがあるということ。
(2) 教師自身が積極的に英語を使うと同時に,個人差やその場の状況やねらいに応じて,対処するだけの力と余裕を持っていること。
(3) 言語活動では,発表の質よりも発表の量を求めることを主と考えたい。すばらしい発音であるが,何を言ってよいかわからないよりは、むしろ英語を話すことができ,しかも英語が盛んに言えることの方が重要である。
(4) 言語活動は,個別化を前提とするものであるから,グループやペアで練習させるなどの工夫をする必要がある。
(5) 言語活動は,既習の言語材料の運用練習なので,この段階で細かい発音や文法上の注意をしなければならないようでは,能率的でない。したがって,十分な「学習活動」が前提となる。
(6) 言語活動が,生徒にとって楽しい活動になるように,スピーチを中心とした自由発表の場を設けたり,簡単なことを劇化させるなどの工夫をする。また,英語の歌やゲームを授業に取り入れる。特に,ゲーム的要素を学習に取り入れることは,生徒の英語学習に対する興味,関心を高め,楽しい言語活動とするためにも大きな役割を果たすことになろう。


8 家庭学習の充実

 週3時間による学習の忘却を防ぐためには,生徒に自発的な家庭学習の習慣を作りあげさせたい。学習内容は,もちろん授業と直結したものが望ましく,これからの指導過程には,家庭学習を背景とした新しい工夫が必要になってくる。また,家庭では,できるだけ,ラジオ,テレビ,テープなどを利用しな一がら学習を進めるように指導していきたい。


9 おわりに

 教師の生徒に対する姿勢が,生徒たちの学習上の基本的姿勢に大半の責任を持つ。指導内容を精選し,情熱を傾け,わかりやすく親身になって教えてくれる先生の努力を肌で感じた生徒の多くは,英語が好きになる・好きになれば自然に英語を学習する時間が多くなり,力もついてくる。このような,自分から進んで英語の学習に取り組むような生徒を育てていくことも「週3時間」への対応策の1つでもあろう。


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