福島県教育センター所報ふくしま No.46(S55/1980.6) -010/038page
た、レキ岩は火成岩レキ,変成岩レキ,たい積岩レキに分ける。
2. またレキ層については,含まれているレキの大きさや,形(まるい,ややまるい,角ばっている)や,配列に特徴があるかどうかも注意して観察する。
3. 砂層について,その粒の大きさで粗い砂,細かい砂に分け,更に,粒がそろっているか(分級がよい),また,砂層の中で粒の大きさが変化しているかどうかよく観察すると,粒のようすは下ほど粗く,上ほど細かい級化構造がみられる場合がある。
4. 化石の有無を調べ,標本を採集する。化石の入りぐあいや配列状態なども注意して観察する。
5. 地層が互いに斜めに交わるように重なっていたり,地層と地層の境がデコボコした面(不整合面)で接しているようであれば,その面の上位,下位の地層の違いをよく調べる。
4) 地層の新旧(または上下)の比較
中学校では,小学校で学習したミ地層の重なりや広がりミを基にして,更に空間を広げ,離れている地層を対比し,地層の新旧を調べ,地域の地表の歴史を組み立てる。
1. 各露頭の位置を地形図上に記入する。
2. 各露頭の地層の重なり関係のスケッチ(柱状図)と,それぞれの地層の特徴を調べる。
地層はたい積後の地かく変動で,変形(断層,しゅう曲)したり,一部が欠けていたりしており,一つの地層は,水平方向に無限に広がってはいない。したがって,ある場所では厚く発達している地層が,他の場所で薄くなっていたり,全く無くなったりするので注意する。
3. かぎ層(キイ・ベッド)を決める
一般に地層の厚さは場所によって変化するが,特殊な環境でたい積した目印になる目だった地層や,ある特別な化石を含む地層は,他の地層と区別することができる。このように手がかりになる地層をかぎ層と呼んでおり,かぎ層として特徴ある凝灰岩や化石をふくむ地層などが用いられる。
4. 地層を対比し,地域の地表の歴史を調べる。各露頭の柱状図を並べ,最初にかぎ層を線で結ぶ。このかぎ層を基にして地域の地層の新旧関係を組み立てる。
5) 野外観察のエチケット
1. 自然を大切にする。
岩石,鉱物,化石などは長い年月を経て自然が作り出したものであるから,必要以上のむだな採集はやめる。また,採集のあとの岩くずは,他人に迷惑をかけないように始末しておく。また,文化財や保護区などに指定され採集が禁じられている所では絶体に採集はしない。
2. 関係者から事前に了解をとる
人家裏のがけの露頭調査のような場合,了解を事前に得ておくとよいし,川原のレキを調べたり標本を採集するときは,事前に県の河川課や関係する土木出張所に許可を得ておくことが大切である。
3. 生命の安全に気をつける
野外は教室と異なり,事故にあう確率は高いので,現地までの交通事情,露頭の安全性,休息地の安全性について事前に調査・確認しておくことがが大切である。
4 県内の地層に見られる模様から何がわかるか
1) れん(漣)痕
河の浅瀬の砂の表面にさざなみのようなれん痕を見かける。
写真は福島市飯坂町穴原の摺上川左岸の川床近くで観察されるれん(漣)痕で,N30度Eの方向に波頭が並んでおり,一般に,上流側に緩傾斜,下流側に急傾斜の波形ができることから,