福島県教育センター所報ふくしま No.46(S55/1980.6) -014/038page
登 校 拒 否 児 の 性 格 特 性 教育相談部 横 内 直 典
1 気質と性格
平凡社の心理学事典によれば,気質は「内的なもので,感情的特徴をあらわすものであり,先天的・遺伝的に決定されるもの」となってわり,性格は「外部にあらわれる反応,あるいは行動に重きがおかれ,人格の意志的側面をあらわし,後天的に決定されるもの」となっている。
心理学事典によるかぎり,両者の違いは,気質は感情的特徴をあらわし,先天的・遺伝的であるのに反して,性格は意志的側面をあらわし,後天的であるという点に見いだすことができる。
このことから性格をまとめてみると,性格とは「体質と関係の深い気質とか素質という生まれつきの基盤のうえに,環境や体験,あるいは習慣などの影響で形づくられたもので,後天的なものである」ということができよう。2 登校拒否児にみられる性格特性
昭和53年度・54年度に,登校拒否症で来所した中学生ならびに高校生67名に対して,Y-G性格検査を実施した結果から,登校拒否児の性格特性について考えてみたい。
(1) 対象別人数
表1 対象別人数一覧表 性別
対象別
男
女
計
中学生 19 17 36 高校生 18 13 31 計 37 30 67
(2) 性格類型
○ A類型; 平凡型
表2 性格類型一覧表 類型 中学生 高校生 A 類
型
A A'
A"
0 1
3
4 (11.1%)
2 2
1
5 (16.1%)
B 類
型
B B'
AB
2 0
1
3 (8.3%)
1 5
2
8 (25.8%)
C 類
型
C C'
AC
6 3
2
11 (30.6%)
1 2
1
4 (12.9%)
D 類
型
D D'
AD
0 0
1
1 (2.8%)
1 1
1
3 (9.7%)
E 類
型
E E'
AE
8 8
1
17 (47.2%)
5 4
2
11 (35.5%)
F型 F 0 (0%) 0 (0%)
日本人としての平均的な性格特性・をもつ人。ただ,この型で知能の低い場合は問題行動を起こすことがある。
○ B類型; 不安定積極型
情緒不安定,社会的不適応,活動的,外向的な人で,パーソナリテイの不均衡が外にあらわれ,反社会的行動を起こしやすい。
○ C類型; 安定消極型
おとなしく,消極的で,内向的なタイプ。
○ D類型; 安定適応積極型
情緒的に安定し,社会的適応力もあり,活動的,外向的でリーダーシップをとるタイプ。
○ E類型; 不安定不適応消極型
情緒不安定,社会的不適応,消極的,内向的なタイプで,パーソナリティの不均衡や内的なかっ藤を生じやすい。
○ F 型; へそまがり型
受検態度に疑問があり,精密検査を必要とする。
1. 中学生,高校生ともにE類型が多いことは,神経症的傾向による者が多いことをものがたっている。
2. 高校生にB類型が25.8%と高く出現している。知能的な面を精査しないと,なんとも